ボランティアスイッチ 第 13 回インタビュー

掲載日:2015 年 9月 2日  

社会に一歩踏み出し、活動する人の声をとりあげる「ボランティアスイッチ」。

第 13 回は、特別編として、ボランティアが活動する団体がどのようにボランティアを受け入れておられるのか、そしてボランティアは団体にとってどのような存在なのかを知り、考えるため、ボランティアが多く活動する、NPO 法人アクセス-共生社会をめざす地球市民の会事務局長の野田沙良さんにお話を伺いました!

社会は偉い人が作るものではなく、私たちが作るもの

  • 国際協力交流

このページのコンテンツは、NPO法人アクセス―共生社会をめざす地球市民の会の野田沙世 さんを、京都市市民活動総合センターの伊原千晶がインタービューした記事です。

活動の様子
ボランティアのミーティング

フィリピンで「子どもに教育、女性に仕事」をつくる

アクセスの現場はフィリピン。
10 人に 3 人が小学校を卒業できないという現状があるフィリピンで、子どもたちが教育を受けられるための支援や女性たちができる仕事をつくる支援をしています。

日本では、現地での活動を支えるため、ボランティアによって構成された 8 つのチームが活動を行っています。

自主性を重んじてアクセスではボランティアがそれぞれのチームに所属し、活動しています。たとえば、開発教育チームでは、現地の生活や貧困の実態について日本で学べるプログラムを実施したり*注 1、ピナツボ地区支援チームでは、地区の幼稚園や成人向けの社会教育センターを運営するための資金を集めるため、チャリティイベントや街頭募金の企画を実施したりしています。ボランティアは、現地と日本をつなぐため、それぞれの関心に合わせチームに入ったり、場合によっては自分でチームを立ち上げたりして、チーム単位で活動を行っています。

アクセスでは、各チームが自主的に活動を進めています。具体的にはそれぞれのチームが定期的にミーティングを持ち、チームで自分たちの活動計画や資金作りを行います。そして自分たちで決めたことを自分たちで行っていく。チームの代表や会計といった役職もボランティアスタッフが自分たちで決め、自分たちで担うそう。もちろん困ったことがあれば、事務局も一緒に解決しようとします。アクセスには「自主的に社会を作り、変えていく市民を増やす」という目的があるためこのような運営形態になっているのです。

誰もが参加し活動できるカタチに

またアクセスでは、チームに所属して活動するだけでなく、どこでも、だれでも、ボランティアとして活動に参加できることを大切にしています。そのため、参加できる活動の場や形を少しずつ広げようとしてきました。また、はじめて事務所を訪れた人には、できるだけ不安を取り除けるよう丁寧に説明をしています。「どうすればいいの?」と自分から言える人だけではない、多様な人が活動できる組織であることを重視しているそうです。

ボランティアは、ともに活動を創っていく大切な仲間

野田さん自身、以前は、「貧困問題や社会問題は、偉い人たちが解決するもの。自分には解決できない、遠い問題。」と考えていました。

でも、ボランティアとしてアクセスのチーム活動に参加する中で、その考えは変わっていきます。仲間とともに何度も意見交換しながら活動計画を作り、現地のスタッフと協力しながら行動することで、少しずつフィリピンの人々の生活改善に貢献していく。そんな活動を積み重ねていく中で、「社会の一端は、同じ思いを持った人たちと協力することで変えられるんだ」と気づいたのだそうです。

だからこそアクセスは、定期的に活動するボランティアを年間 80 人以上受け入れ、フィリピンの人々と力を合わせて行動する場を提供し続けています。アクセスの活動を通じて、当事者として社会に関ろうとする人が増えていくことを願っているのです。アクセスにとってボランティアは、単に活動を手伝ってくれる存在ではないといいます。

一緒に考え、意見交換し、行動する大切な仲間なのです。まずはあなたの問題関心や興味に合わせて活動に参加してみませんか。あなたの一歩が、広い世界につながっていくはずです。

注 1:

詳しくは、 【ボランティアスイッチ第12回】「もやもやと悔しさをばねに、活動に参加する「きっかけ」をつくる」をご覧ください!


話し手

NPO法人アクセス―共生社会をめざす地球市民の会事務局長

野田沙世さん

ボランティア先 Web サイト http://www.page.sannet.ne.jp/acce/index.html

インタビューワ

京都市市民活動総合センター

伊原千晶


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