社会に一歩踏み出し、活動する人の声をとりあげる「ボランティアスイッチ」。
第 14 回は、海外から京都に来た旅行者に、英語で道案内を行う「あっちこっちプロジェクト」で活動する水野佑架さんにお話を伺いました。
水野さんと「あっちこっちプロジェクト」との出会いは 2014 年 5 月。
当時、仕事で英語が必要となり知り合いの英語講師に相談したところ、偶然その英語講師が教えてくれたのが、ボランティアで道案内を行う「あっちこっちプロジェクト」でした。
あっちこっちプロジェクトは英会話のレベルに応じて「なすび」「鷹」などが描かれたバッチをつけ、好きな時、好きな場所で、困っている外国人旅行者がいれば道案内を行う活動です。
まずはあっちこっちプロジェクトが主催する道案内に特化した英会話教室に参加した水野さん。「教え方やワークショップの設計がしっかりしており怪しい団体ではないと感じた」といいます。
水野さんは以前から、京都でも特に観光客が多い町に住んでおりよく道を尋ねられていました。しかし、英語がうまく出てこないため近所から京都駅や、近くの有名なお寺などよく聞かれる場所を手作りの地図にしたものを道を尋ねてきた外国人旅行者に渡していたそう。
「本当は英語を話して案内をしたいとずっと思っていたんですよね」と水野さん。以前なら「 go 」しか出てこなかったけれど練習の成果、今は少しずつ言葉が出てくるように。伝えたかったことを伝えられるようになることがとても嬉しいといいます。
活動の中で、嫌な思いをしたことはほとんどないけれど、それよりもむしろ、「自分が喋れなくてもどかしい」と思うことの方が多く、「あれはどのように表現すればよかったのだろう?」と後から考えたり、調べたりすることも多いそう。
水野さんは、あっちこっちプロジェクトで知り合った人とご飯を食べに行ったり、友達が出来たりと、仲間の輪がどんどん広がっています。
「同じ意識を持つ人といると、前向きになれる。元気がもらえる。モチベーションが上がってくるんです。
『あっちこっちプロジェクトに出会って、人生が変わった』という人もいるんですよ」と教えてくださいました。
あっちこっちプロジェクトが主催する、道案内に特化した英会話教室も自分のためだけに英語を学びたい人よりも、「ありがとう」と言われるのがうれしく、困っている人には手を差し伸べたいという人が集まってくるそうです。
一人で活動することもできるし、仲間も増えることもあっちこっちプロジェクトの魅力のひとつ。そして、困った人をサポートすることが出来るようになること、それが自分の成長につながり、自分が成長すれば、より多くの人を助けられるようになる。その素敵な循環があっちこっちプロジェクトのもうひとつの魅力なのかもしれません。
さらに水野さんはあっちこっちプロジェクトの活動をきっかけに以前から興味があった他分野のボランティア活動にも参加するようになりました。
活動する団体はどのように見つけるのですか?と尋ねると、「求めていると耳に入ってくる」んだそう。一歩踏み出し、やりたいことを願っていると、人とのつながりや水野さん自身のアンテナの感度が高まり、自然とその情報が集まってくるのでしょう。
「時間がある人ができる範囲で」というのがボランティアの大事なポイントだと感じている水野さん。
水野さんの中では、自分ができることより「ちょっとしんどいぐらい」が理想といいます。それを長く続けられたら。それが今の思いです。
活動を始めて、社会の問題をより近く感じるようになりました。困っている人などがあるのなら、どんどんステップアップして、もっともっと助けてあげられたら。と思いながら活動に参加しています。
京都市市民活動総合センター
伊原千晶
ボランティアに参加してみることで、ボランティアの魅力を知り、活動に参加することのハードルが下がるとさらに世界がひろがっていくのでしょう。
あなたも、ずっと気になっていたこと、気軽な一歩から踏み出してみませんか。