社会に一歩踏み出し、活動する人の声をとりあげる「ボランティアスイッチ」。
第 5 回は、様々な団体で活発に活動されている、糸賀ちあきさんにお話を伺いました。
糸賀さんは京都市在住の会社員。ボランティア歴は 3 か月です。しみセンが案内しているボランティア活動情報を使い、様々なボランティアに参加しています。
学生の頃は青年海外協力隊の活動に興味があったという糸賀さん。お母さんとの会話の中で、その話題が出てきたとき、「まだ海外で活動することをあきらめてないよ」と言いながら、興味があるだけで何もしていなかった自分が気になったことがボランティアをはじめるきっかけでした。
しかし、「最初はボランティアの探し方もわからず、めっちゃ探した」という糸賀さん。何とか市民活動総合センターのホームページにたどり着き、情報を得、イベントボランティアや、老人介護施設での傾聴ボランティア、観光ガイドサポートのボランティア、レコード図書館開設のためのレコード整理ボランティアなど、複数の団体で週 3、4 日活動しています。
スケジュール帳を見せてもらうとたくさんの活動予定で埋まっている、とてもエネルギッシュな糸賀さん。そんな彼女のモチベーションはどこから来るのでしょうか。
糸賀さんは、「ボランティアは、仕事のように、資格や経験がなくても気軽に活動に参加できることが魅力」といいます。企業で働く場合、資格や経験が必要で、履歴書を書いたり、面接を受けたりと、新しいことを始めるのにはハードルがありますよね。
しかし、ボランティアの場合、受け入れている団体さんは怖くないのかな、と思うほどにハードルが低く、とても歓迎してくれることが印象的だったそう。
また、普段出会わない人に出会えることも魅力のひとつ。例えば、ゴミ拾いのボランティアに参加したとき、団体の方が「ゴミ拾いはしゃべりながらするのがええねん」とおっしゃっていて、「ゴミ拾いが楽しいってなんやねん!」と思えるぐらい、楽しいゴミ拾いが出来た。
団体の方の人柄がとても素敵だったうえに、振り返りでは、どの参加者の方も話す姿勢、聞く姿勢がしっかりとしていて、一つのことにみんなで向き合うことで生まれるパワーを感じたといいます。
このように、ボランティアで様々な経験をし、様々な人に巡り合えることで、糸賀さん自身が自分の成長を感じられていることが、モチベーションになっているのでした。
今後もいろんな活動をしたいという糸賀さん。いつ、どこで、どんなボランティアに参加したか、ボランティア履歴を記録していて、その履歴が増えていくのが今の楽しみなんだとか。
しかし、友人など周りの人にボランティアをしているというと「すごいね」と言われることが恥ずかしく、困難がある人に寄り添うというような“いわゆるボランティアのイメージ”が変わる、「ボランティアに代わるいい言葉、ないのかな」ともおっしゃっていました。
そして、社会人になると「成長できる」と思えることは職場がほとんどだろうと思っていたそう。職場ではだんだんと頼られるようになり、成長を感じる場面も以前ほど多くなくなっていたのに、ボランティアという形で成長を感じられるなんてとてもラッキーだと感じています。
成長、というと大げさかもしれませんが、知らない場所にいくときの緊張が少しずつ平気になっていったり、いろんな人と話をする中で、自分の中に少しずつ知識が溜まっていくというような、小さいけれど前向きな変化が、糸賀さんの充実した気持ちにつながっているのでしょう。
いつかは海外でも活動してみたいという夢はまだあきらめていません。「小さい子が『ケーキ屋さんになるー』ということと同じレベルだけれどこの年になっても大きな夢を持つことができて、モチベーションが上がる」といきいきとおっしゃっていました。
ボランティアをすることは新しい選択肢。あなたも周りの誰かの役に立てることをすることで、自分の成長を感じてみませんか。
糸賀 ちあきさん
京都市市民活動総合センター
伊原千晶