社会に一歩踏み出し、活動する人の声をとりあげる「ボランティアスイッチ」。
第 6 回は、NPO 法人チャイルドライン京都で活動する根本賢一さんにお話を伺いました。
18 歳までのこどもがかけられる電話相談、「チャイルドライン」。根本さんが団体や活動の存在を知ったきっかけは、仕事中だったそうです。お仕事では大学職員をされている根本さん。心理学の先生が学生の課外活動として、「チャイルドライン」に関われないかと提案し、チャイルドライン京都を調べたのが、存在を知るきっかけでした。
その後、根本さんはプライベートの活動として、チャイルドライン京都のボランティア養成講座に参加し、活動を始めます。5 年ほど経った今では常任理事となり、運営全般、広報などを担当されています。
10 代の後半から、地元の集会所で子どもと遊ぶ活動に参加していたという根本さん。お兄さんがその活動をしており、気が向いたら参加するという関わりを通して、社会的に弱い立場に置かれた人たちに関する学びを当事者性を持って深めていました。
しかし、社会人になってからは、友人から誘われたアウトドアなど「遊び」に集中していた時期もあったそう。「不器用」と自身のことを話す根本さんは、学生のとき「遊ぶ」という行為や感覚がうまく自分の中に根付かず、社会人になってから「遊ぶ」ことがなじんできたといいます。「遊びだすと遊びの方が気楽で、おもしろく感じていた」ともおっしゃっていました。
しかし、10 年ほど前、ずっと続けていた自分のベースとなる活動に取り組めていない、という状況や、遊んでいるときもどこか本気で遊べず、罪悪感などの自分の気持ちから目を背けられなくなっていることを感じ、少し疎遠になっていたその活動に再び顔を出すようになりました。
現在では、「学生のころ、集会所で子どもたちと一緒に遊んだり、真剣に悩んだりした経験や思いを忘れないようにしたい」と思いながら、チャイルドラインの活動に取り組んでいます。
チャイルドラインの活動は、事前にボランティア養成講座を受講する必要があり、活動内容は「楽しい!」だけではないこともありますが、みんなで子どもを支える、社会の課題に取り組む活動です。
そんな、活動をどう感じているのでしょうか。根本さん自身は、「いまの子どもたちのことが気になる」とか、「少しでも子どもたちが元気になればな~」などの大きな夢や希望に目を向けるようにしたら、活動への不安やハードルは、「よし越えてみよう!!」と思うタイプ、と楽しそうにおっしゃっていました。
そして、「しんどいこともあるけれど立ち戻れる目的があること」が活動を支える原動力になっているそう。チャイルドライン京都であれば、子どもが笑顔でいてほしいという願いです。
根本さんは活動を通して、息苦しい社会で生きる大人の余裕のなさが子どもたちにしわ寄せがきていると感じられていました。「自分の足元から、少しずつ自分自身も変わりながら、社会を変えていきたい」とおっしゃっています。
淡々と話される姿が印象的な根本さん。週末は仕事の処理や、チャイルドラインの活動、またほかに所属している団体の活動、家族と過ごす時間など盛りだくさんです。
ご夫婦で共働きだそうで、働くことも、家事をすることも同じ立場。「協力し合わないと」と思い行動しますが、反省の日々だともいいます。そんな中でも、家庭内のコミュニケーションを大切にすること、相手も、自分の時間を持てるよう調整すること、を特に意識しているとのことでした。
根本さんの暮らしは、足元を大切にしながら、大きな希望につながっています。みなさんも、夢や希望、”こうなってほしい社会”を意識しながら、自分の生活を組み立ててみませんか。
根本 賢一さん
京都市市民活動総合センター
伊原千晶