「遊び」は社会を変える。プレイカーでまちへ出る、きょうのあそびばのこれから。

掲載日:2025 年 10月 31日  


2022 年 1 月の NPO スポットライトに登場した「きょうのあそびば」。

団体設立の背景には、コロナ禍で遊びを奪われた子どもたちに「思いっきり遊べる場所」をつくりたいという強い思いがありました。あれから約 3 年、プレイパークの定期開催、地域や他団体との連携、そして“移動式あそびば”プレイカーの導入という進化を遂げています。

「きょうのあそびば」代表の貞本 建太さんへのインタビューから、連携や協働によって目指す常設プレイパークの未来図に迫ります。

「遊び」を通した成長とその価値を伝えるために―きょうのあそびば

このページのコンテンツは、きょうのあそびば 貞本 建太さんにスポットライトをあてその活動を紹介する記事です。

進化する活動拠点―念願の「プレイカー」導入と移動式あそびばの可能性

プレイカーとは、あそび道具を詰め込んで走る移動式のプレイパークのことです。
「きょうのあそびば」の活動は、これまで伏見区醍醐の折戸公園を中心とした京都市内の公園での「1 日プレイパーク体験」が中心でした。

そしてこの度、活動を大きく前進させる移動式あそびば「プレイカー」が 2025 年 10 月 5 日の京都市醍醐支所が開催する“だいご アート×プレイパーク”にてお披露目されました。イベントの中では、車体全面を参加した子どもたちと一緒にペイントを行い、世界に一つだけの車が完成しました。

ペイントイベントの様子

このプレイカーは、寄付や民間の助成金によって購入されました。プレイカーの導入により、遊具の持ち運びや保管の手間が大幅に軽減され、活動の幅が広がります。
すでに地域のイベントへの出展や他団体とのコラボも決まっているのだとか。
将来的には災害時などに出前で子どもたちに遊びを届けることも視野に入れています。

しかし、活動が進化する一方で、新たな課題も生まれています。プレイカーの導入は大きな一歩でしたが、ガソリン代や毎月の駐車場代、車検や保険といった維持費がかかることで、継続的な資金確保の必要性も高まっています。
寄付や助成金に加え、地元企業からスポンサーを募る仕組みも検討されています。例えば、「○○会社プレゼンツ・プレイパーク」といった冠協賛や、地域の商店などの協力での開催など。
子どもの遊びを支援する大人が増えれば、地域全体で子どもを見守るまなざしを持つことにもつながります。

子どもの「リスクを取る権利」を守るということ

きょうのあそびばのプレイパークでは、ノコギリなどの工具や、火も登場します。驚く大人もいますが、これは「危険を排除する」ためではなく、「子どもたちが乗り越える力を育てる」ためです。
貞本さんが大切にしている「ハザードとリスク」という考え方があります。
「予想できない重大な危険(=ハザード)は取り除かないといけない。でも、小さなケガの可能性(=リスク)を全部なくすと、子どもは挑戦する力を失ってしまうんです。」
全てを整え、つまずかないように道を舗装してしまうことよりも、あえて小さな障害物を残し、それを超えていく経験を大切にする。そこには、今の“システム化して余白のない社会”への問いかけも含まれています。

「なんでも危ない、なんでもダメ。そんな規制ばかりの社会の中で、子どもたちが思いっきり遊べる“余白”をなくしたくないんです」

プレイパークでは、子どもたちがノコギリで木を切ったり、思いっきり走り回ったり、火も起こします。大人は「危ないからやめなさい!」とは言わず、ただそっと見守ります。
そして、その余白は子どもだけのものではありません。親たちがベンチでほっと息をつき、シニア世代が昔遊びを教え、学生ボランティアが全力で鬼ごっこをする。立場も世代も超えて、人が人とつながる場でもあるのです。

広がり始めた地域とのつながり

現在のきょうのあそびばの活動拠点は、京都市伏見区醍醐の折戸公園。
月に1回のプレイパークの開催には、子どもたちとその親、学生やシニアのボランティアなど、多世代の人たちが集います。
最近では、地域の子ども食堂とのコラボや防災イベントの出展など、活動の輪も広がっています。
「『子ども×○○』の形で、色々な団体とコラボできる可能性があります。例えば『子ども×防災』、『子ども×自然×食』など。遊びを軸にすれば、多くのテーマとつながれると思っています。」

地域の団体だけでなく、行政との対話の機会も増えています。
京都市として「すべてのひとに居場所と出番があるまちづくり」を政策の柱に据えている中、地域の人が関わり、支え合う仕組みづくりを行っているきょうのあそびばへの注目も高まっています。

将来の展望は「常設型プレイパークを京都市とともにつくること」。京都市内に常設型のプレイパークをつくり、それをモデルとして各区に広げていき、遊びのあるまちづくりを進めることを目指しています。


今回スポットライトをあてた団体・個人

きょうのあそびば 貞本 建太 (さだもと けんた) さん

代表

団体名 きょうのあそびば
代表者 貞本 建太
団体について

子どもの自由な遊びを尊重する冒険遊び場「プレーパーク」づくりの活動を通して、子どもたちが遊びを通して育っていくことの価値を広く社会に伝え、遊び場を通した地域コミュニティづくり、人材育成などを通して、全ての人がありのままで、自分らしくいられる社会をつくっていくことを目的としています。

主に、京都市内の公園での一日プレーパーク体験の実施や、子育て講演会を企画して活動をしています。

子どもたちと思いっきり遊ぶ仲間、ボランティアさん、運営スタッフを募集しています!お気軽にお問い合わせください。

メール kyoto.playpark@gmail.com
Web サイト https://kyotoasobiba.com/
Facebook https://www.facebook.com/kyoto.playpark/
Instagram https://www.instagram.com/kyo_no_asoviva/

この記事の執筆者

団体名 京都市市民活動総合センター
名前 真鍋 拓司

副センター長補佐



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