1 月 10 日 (月・祝)、大宮交通公園では、たくさんの親子連れが訪れ、元気に走り回る子どもたちの姿が見られました。
そのなかに、「1 日プレーパーク体験」という看板がありました。子どもたちが自然と集まり、自分たちで「遊び」を見つけ、自由に楽しんでいるようです。
プレーパークとは、「冒険遊び場」とも呼ばれ、「子どもたちが遊びをつくる」場といわれています。年齢を問わず参加することができ、公園を活用して開催されることが多いです。プレーパークという取り組みは、1940 年以降、デンマークをはじめとしてヨーロッパを中心に広がりをみせました。日本国内では 1979 年に初めての東京都世田谷区に常設の羽根木プレーパークが誕生して以来、非常設型のものを含めると、現在では 300 個以上 (*1) のプレーパークが整備されています。
今回は、京都にプレーパークをつくることを目指して活動をされている、「きょうのあそびば」代表の貞本建太さんにお話を伺いました。
*1:特定非営利日本冒険遊び場づくり協会 全国冒険遊び場検索マップの全国数を参照
きょうのあそびばが発足したきっかけは、2020 年 4 月、新型コロナウイルスの感染拡大の影響による、幼稚園・中学校・高校といった教育機関の一斉休校でした。子どもたちは、突然外に遊びに行くことができず、友人とも会えなくなり、「ステイホーム」を強いられます。
やがて一斉休校が解除されると、国内では「休校期間中の勉強を取り戻そう」という考えのもと、7時間授業の検討や、長期休暇の短縮を子どもたちに求められました。そこに、国連で採択された子どもの権利条約第31条に謳われているはずの「遊ぶ権利」の保証は見受けられませんでした。
本業として、保育士を仕事とされている貞本さんは、社会の動きを目の当たりにし、『子どもたちの遊びが、社会に認められることができる活動をつくらなければならない』と感じられたそうです。
その活動の一環として、何をするべきか考えられたときに、日本で最初の常設プレーパークである羽根木プレーパークで有償プレーリーダーを務められた天野秀昭さんの講演会を企画されていたこともあり、「京都に常設のプレーパークをつくる」ことを決意されました。
Facebook で仲間をよびかけると、保育関係に携わる仕事の経験者を中心に、6 名が貞本さんの思いに賛同し、2021 年 4 月から活動が開始されました。
プレーパークとは、「子どもたちが “ 遊びをつくる ” 遊び場」であり、「自分の責任で自由に遊ぶ」ことができます。子どもたちの「やってみたい」という好奇心を尊重し、大人は基本的に指示をしたり、命に関わる危険なこと以外は禁止事項を設けたりすることはありません。
遊び道具の多くは、既製品ではなく、木材・火・水といった自然のものや、段ボールなど子どもたちが創造してものづくりができるものを使用されています。
教育現場では ICT 教育の導入によるタブレットを活用した授業が取り組まれ、家に帰ると、ゲーム機やスマートフォンを使って遊ぶ子どもたちも多いのではないでしょうか。
つくられた学び・遊びではなく、自分でつくる遊びを通して、「子どもが遊びの中で自然にふれ、五感を存分に刺激して育つこと」ができる場所が、プレーパークの魅力です。
また、きょうのあそびばでは、子どもたちが遊びから主体性を持ち、心を満たしていくことを「遊びの価値」と捉え、遊びによって人生の核 (土台) がつくられることも大切にされています。
子どものころに遊びを通して経験した楽しさ・面白さが、好奇心や探求心を育て、「生きる力」の土台となることが、保育の現場や学術的な視点から言われています。筆者自身も、自分を見つめ直す機会に、自分はどんなことが好きだったのか、どんなことをしているときにわくわくするのか、子どもの頃の「遊び」が思い出されることは少なくありません。
だからこそ、プレーパークは、子どもたちだけでなく、大人も遊びを捉え直すきっかけともなるのです。
きょうのあそびばの「プレーパーク 1 日体験」は、現在不定期で行われています。筆者が訪れたプレーパーク 1 日体験は、第 2 回目の実施で、56 組 167 名の親子が参加されたそうです。
参加した子どもの中には、プレーパークの運営スタッフ一人一人に「ありがとうございました!」と元気な挨拶をして帰っていく子も。保護者からは、「子どもたちが思いっきり遊べる場所があることは助かる。」「のびのびと遊ぶことができるのは嬉しい。」「次はいつ開催されるの?」という声が届いています。
プレーパークは、主に子どもたちが対象の遊び場ですが、親世代にも、プレーパークでの遊びの価値や、遊びを通した子どもたちの成長を実感してもらう重要な場となります。
社会でのプレーパークの認知は広がっておらず、貞本さんは「1 日プレーパーク体験が、イベントとして消費されないために、遊びの中で生まれる育ちの価値を、大人たちにも知ってもらいたい。」と感じているとのことです。
保護者として子どもを守るために、危険なことから回避させてしまいがちですが、前述したように、プレーパークは禁止事項が少なく、子どもがつくる遊びをありのままに受け止める場です。子どもと一緒に、大人も遊びを楽しみ、遊びから学ぶことが必要ではないでしょうか。
きょうのあそびばの目標は、常設のプレーパークをつくること。そのために、現在は単発で 1 日プレーパーク体験の開催の回数を重ねていき、地域住民の方や行政の方たちに、プレーパークを知ってもらうことを重視して活動に取り組んでいます。回数を重ねるために、運営に協力してくれる人も増やしていく予定とのことです。
筆者が訪れたプレーパークでは、かまどベンチを使用してマシュマロやさつまいも、里芋、みかんなどが焼かれ、子どもたちに人気の場所となっていました。かまどベンチの周りでは、親子同士や運営スタッフと子どもたちの間で、自然とコミュニティが作られていました。
第 3 回目、4 回目に南部公園、折戸公園で予定されているプレーパークでは、木工が得意なシニア世代のクラブに呼びかけ、子どもたちと一緒にものづくりをしてもらうそうです。老若男女問わず、様々な世代の大人が遊びを通して集うことで、地域コミュニティの場としても期待されています。
「子どもが“遊びをつくる”遊び場」「大人が子どもと一緒に遊びを捉え直す場」「地域全体のコミュニティの場」など、視点を変えることによって幅広い役割を持つプレーパークをご紹介しました。
みなさんの「今」は、子どもの頃の「遊び」が原点となっているかもしれません。みなさんの「遊びの価値」は何ですか?
貞本さんからの「遊びによって人生の核がつくられる」という言葉が、印象に残っています。この言葉をお伺いしたときに、改めて、子どもの時に遊んでいた方法や、遊びを通しての気持ちの変化が、意外にも自身の記憶として残っていることに気づかされたからです。
しかし、現在の子どもたちの遊びの環境は、例えば遊ぶ場所としての公園には、「ボール遊び」「大声を出すこと」などに対する禁止項目のルールが増えるとともに、遊具の撤去がなされているケースがあります。また、子どもたちの「習い事」の種類も、多種多様となり、遊ぶことに没頭することができる時間も場所も限られてきています。
プレーパークでの「遊びの価値」が広がることによって、子どもたちが遊びを通して育つ機会が増え、その遊びの経験が、大人になって「楽しかったな」「良かったな」と自信を持って他者に伝えることができる。そんな循環がどんどん生まれていくのではないかと、とても楽しみです。
写真左:貞本 建太さん (きょうのあそびば 代表)
※ 個人の肩書や所属する団体は、執筆時点 (2022年1月) の情報です。
団体名 | きょうのあそびば |
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代表者 | 貞本 建太 |
団体について |
子どもの自由な遊びを尊重する冒険遊び場「プレーパーク」づくりの活動を通して、子どもたちが遊びを通して育っていくことの価値を広く社会に伝え、遊び場を通した地域コミュニティづくり、人材育成などを通して、全ての人がありのままで、自分らしくいられる社会をつくっていくことを目的としています。 |
メール | kyoto.playpark@gmail.com |
https://www.facebook.com/kyoto.playpark/ |
団体名 | 京都市市民活動総合センター |
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名前 |
奥野 智帆 事業コーディネーター |
Web サイト | http://shimin.hitomachi-kyoto.jp/ |
https://www.facebook.com/shimisen |