京都市上京区にある堀川商店街の中に、3 つの団体が一緒に運営する「knocks! horikawa (ノックスほりかわ) 」があります。
<3 つの運営団体>
みんなの図書館をやってみよう KYOTO
一般社団法人 子どものよりよい育ちを支える会
コジカレーベル
「本」「学び」「音楽やアート」をキーワードに、子どもたちの学びの場と、まちのシェア型図書館が一つになった knocks! horikawa には、毎日子どもから大人までたくさんの人が訪れています。
今回は、運営団体の一つである「みんなの図書館をやってみよう KYOTO」代表の國定 若菜さんにお話を伺いました。
それぞれの団体が、堀川商店街周辺で教育、芸術、まちづくりの活動をしてきました。2020 年頃からお互いのイベントに参加したり、一緒に単発イベントを実施したりと活動を共にするようになりました。
単発イベントにご参加いただいた方々から「もっと開催してほしい」というお声をいただくこともありましたが、場所や時間に制約がありました。
何度も話し合いを重ねた結果、いつも開かれた自分たちの場所を一緒につくることになり、knocks! horikawa のプロジェクトを立ち上げました。
現在のプロジェクトメンバーは、一般社団法人子どものよりよい育ちを支える会 代表の西村 奈美さん、コジカレーベル 代表の小島 寛大さん、私 (みんなの図書館をやってみよう KYOTO 代表) の 3 名です。発足の初期には、地域における事業の立ち上げに詳しいワーカーズコープ連合会 職員の松垣 芳伸さんにもサポートいただきました。
プロジェクトメンバー全員が子育て中で上京区民でもあるため、「自分たちが生活する町に、子どもたちがふらっと気楽に立ち寄れる場所や、そこに地域の大人も一緒に学んだり、体験できたりする場所」をつくりたいという共通の思いがありました。
時間や曜日でそれぞれの団体の活動を割り振って行っています。スケジュールの中で空いている枠には、いずれかの運営団体が単発で持ち込み企画を実施することもあります。
◾️『みんなの図書館』(運営:みんなの図書館をやってみよう KYOTO)
日時:火・木・土の 10:00〜16:00
みんなでつくる新しい形のまちの図書館です。本棚の一区画ずつ本の持ち主(本棚サポーター)が異なり、おすすめの本を置いています。来館した人は、本を読んだり、借りたり、出会った人と話したり、それぞれ自由に過ごしていただけます。
◾️『まなび基地 juku HOPE』(運営:一般社団法人子どものより良い育ちを支える会)
日時:平日の 16:00〜19:00
地域の小学生・中学生たちが、自分のペースで、やりたい勉強や目標を決めて過ごす学びの場です。教育経験者や大学生といった大人たちが子どもたちの学びを見守ります。
また、地域の大人たちによるユニークな講座や、音楽・工芸・食といった様々な体験プログラムも行っています。
◾️『子ども音楽クラブ』『だれでも音楽室』(運営:コジカレーベル)
日時:日曜日の 10:00〜16:00
『子ども音楽クラブ』は小中学生を対象として、楽器のグループレッスンや楽器体験ができます。
『だれでも音楽室』では、5 歳から⼩学⽣まで参加できる少人数制の楽器体験ワークショップを開催しています。
それぞれの活動で体験できる楽器は、ピアノ、ウクレレ、グラブッカ、三味線、パーカッションなど色々な楽器が用意されています。
また、子どもたちの夏休み・春休みに合わせて、曜日や時間に関係なくいつでも来ることができる『オープンデー』という期間をつくっています。この期間には、運営団体が一緒にプログラムを企画しています。
1 日平均して子どもから大人まで 15 人ぐらいの方がいらっしゃいます。
『みんなの図書館』がオープンしている日中は大人の方が多く、毎週必ず顔を出してくれる人もいれば、未就学児のお子さんを持つお母さんの息抜きの場となることもあります。
『まなび基地 juku HOPE』がオープンしている平日の夕方は、堀川商店街の周りには小学校だけで 5 つ程あるため、学校や家から knocks!horikawa まで徒歩圏内の小学生がメインです。毎日来てくれる子もいます。
また、商店街という開かれた場所のため、時間・曜日に関係なく、買い物・散歩のついでや仕事帰りに「ここはなんだろう」と興味を持って立ち寄ってくださる方もいらっしゃいます。偶然見つけて knocks!horikawa に来ていただいたことがきっかけで、現在一緒に活動してくれている方もいます。
その他に、最近ではどこかからうわさを聞いて神奈川県や千葉県から見学に来られた方や、大学生からは卒論のテーマにしたいので取材させて欲しいという依頼がありました。
私が運営している『みんなの図書館』の本棚サポーターさんには、すでに NPO 法人や団体を立ち上げて活動されている方や、自分の持っているスキルで誰かのために役立ちたいという方が多く、まちづくり・福祉・教育に関心のある方が集まっている印象です。そのほかに、まちのシェア型図書館やコミュニティスペースに興味のある方も増えてきました。地域に宝物みたいな人がたくさんいらっしゃることを発見できて、すごく楽しいです。
それぞれの運営団体が knocks! horikawa でやりたい活動ができるように、プロジェクトメンバーで月 1 回の定期ミーティングを設けて話し合っています。みんなでつくるコミュニティスペースとして、運営団体全員での意思決定のプロセスを大切にしています。
単発の持ち込み企画は、実施する内容・開催したい時期などによっては LINE 上で決定し、進めていくことが多いです。プロジェクトメンバー全員が「一回チャレンジしてみよう」という性格でもあるため、定期ミーティングで話し合うべきところと柔軟に動くところは分けて、活動を動かしながら、振り返って軌道修正を行うようにしています。
運営団体の活動テーマは本・学び・音楽やアートと異なっていても、これまでの話し合いの中で、「利用する方が何かを始めようとしたとき、何かにつまづいたときなど、その人の次のステップとして『自分らしい選択肢に出会う場所』が knocks! horikawa でありたい」という思いが共通しています。
例えば、『みんなの図書館』で絵本を置いてくれている本棚サポーターさんからの「音楽にのせて絵本の読み聞かせをしているのを見て、自分でもやってみたい」という話をきっかけに、絵本の読み聞かせイベントを実施しました。
本棚サポーターさんが絵本を選んで読み聞かせをするのにコジカレーベルの音楽家たちが音楽を合わせて、イベントに参加している⼦どもたちには『まなび基地 juku HOPE』メンバーから声掛けをする。
このようなやり方で、「自分らしい選択肢に出会う場所」という軸をもとにしながら、運営団体が一緒にイベントや場をつくる機会も多いです。
運営面では、それぞれの運営団体のメンバーや、knocks! horikawaの活動を一緒に手伝ってくれる人たちみんなが幸せになれるような体制づくりに力を入れていきたいです。
活動面では、仲間づくりに力を入れていきたいです。プロジェクトメンバーの中では、京都市内の各学区に一つ居場所をつくりたいという目標があります。 knocks! horikawa を利用されている方のほとんどは、徒歩圏内にお住まいの方です。同じように、住んでいる地域の徒歩圏内で誰もが行きやすい居場所が各学区に一つできれば、何かあったときに頼れる選択肢が増えていく、そんな社会の方がいいのではないかと思っています。
そうした居場所が増えていくためにも、同じように自分たちの住んでいる地域に居場所をつくりたいと思う人たちとのネットワークを作って、私たち knocks! horikawa が経験した居場所づくりの面白さも悩んだ部分も惜しみなくお話しして、その思いを一緒に実現できるように協力していきたいです。
「みんなの図書館をやってみよう KYOTO」代表
団体名 | knocks! horikawa |
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所在地 | 〒602-8243 京都市上京区奈良物町481番地堀川出水団地第 3 棟 314 号室 |
団体について |
knocks! horikawa(ノックスほりかわ)は、京都市上京区堀川商店街にある、子どもたちの学びの場とまちのシェア型図書館が一つになった新しいスペースです。 |
メール | knocks.horikawa@gmail.com |
Web サイト | https://sites.google.com/view/knockshorikawa/home?authuser=0 |
https://www.instagram.com/knocks_horikawa/ |
団体名 | 京都市市民活動総合センター |
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名前 |
奥野 智帆 サブ事業コーディネーター |