皆さん、“自助具(じじょぐ)”という名前を聞いたことありますか?
事故や障害などによって、思うように体を動かせない人達が、不自由さを軽減するために使う福祉用具になります。たとえば、片手が使えなくなったことを想像してみてください。手の爪を切る事が困難になったり、ペットボトルやジャムなど蓋の付いている容器の開けしめも難しくなります。また、身体の不自由さから自身の生活の事で周囲にサポートを求めることは、本人にとってストレスになります。そんな人達が、周囲に気兼ねなく生活ができるお手伝いをするべく、障害の内容に合わせた自助具を製作しているのが、今回ご紹介する NPO法人 京自助具館になります。
近年は便利な道具が色々と増えていますが、障害のある人にとっては、帯に短し、たすきに長しです。それぞれの状態に合わせては作られていないため、オーダーメイドが必要になります。特に制作依頼が多いのは、食事にかかわる自助具で「自分で食べる楽しみを取り戻してもらいたい。自分で食べることを諦めてほしくない。」と代表の近藤さん。本日は、そんな近藤さんのいる京自助具館について伺いたいと思います。
<京自助具館は、2003年に ひと・まち交流館 京都が、建てられたタイミングで、高齢者の老後の生きがい活動の為のサークルの一環として、京都市の支援のもと始まりました。その後作業療法士などが関わるようになり、本格的に自助具を作る団体として活動をしています。もともとは、大阪の自助具団体が設立されたのをきっかけに、滋賀、京都でも各自治体の支援のもとに設立されたものでした。しかし、大阪市が大阪の自助具団体の支援を打ち切る事を決めたことを受けて、「これは他人事ではない」と感じた近藤さんは、自身で運営していける形が必要と考え、2021年にNPO法人の法人格を取得されました。
現在は、ひと・まち交流館 京都から紫野へ事務所を移転して、自助具の製作の他、福祉用具の製作、自助具のこと知ってもらう講座を学校などで開催するなどの活動を行っています。
自助具は、身体の不自由を感じている方に合わせて作られた、日常生活の不便を解消するための道具です。
近年、ユニバーサルデザインといった言葉を耳にすることが多くなった影響もあってか、自助具の話をすると、ユニバーサルデザインの道具と思われることが増えてきたそうです。
しかし自助具は、ユニバーサルデザインではないと、伺いました。
NPO法人京自助具館 近藤 千津子さんさん
ユニバーサルデザインは、老若男女問わず誰もが使いやすい道具のことを指していますが、自助具は、不自由をしているその人に合わせて作られている「オンリーワンな道具」なのです。
ですので、他の人にとっては不要な道具であったり、何に使うのかがわからない道具に思われるものもあります。
たとえば、手を怪我して病院に入院したとします。食事の時に、看護師さんや作業療法士さんが、食べやすいよう応急的に、スプーンの柄を太くして握り易くすることがあります。
実は、あれも名前はついていませんが自助具になるのですよ。意外と知らずに触れている方もいると思います。
それでしたら、メガネを想像してください。
メガネは、視力の影響で不便な生活になっているのを助ける道具になります。しかも、その人の視力に合わせて作られていますので、正にその人にとってオンリーワンな道具になります。他の人がかけても、メガネの度数が合わなかったり、フレームがその人の顔の形に合わせて調整されているので、かけにくかったりします。
メガネも自助具と言ってもいいのではないかと考えています。
作った道具が、利用者のモチベーションをあげるものであることですね。
自助具を使う必要がある状況は、利用者にとって嬉しい状況ではありません。利用者が道具を手にした時に「こういうのが欲しかったんだ」と、気持ちが少しでも上がるように、どういうことがしたくて、どういうモノを必要としているかを徹底的にリサーチします。試作品を試してもらい、調整を繰り返すのですが、あくまで利用者が判断して決定することが大事なのです。
ですので、作る側としては、自分が最高と思えるものを作ることにプライドを燃やすのではなく、利用者の要望に何でも応えることにプライドを持つことを大事にしています。
「自助具について、高校で話す機会を頂くことがあります。生徒さんの中には、お話を聞いて自助具を、ご自身の祖父や、祖母にプレゼントすることを考えられる方も居られます。その時に必ずお伝えしているのが「自助具のサプライズプレゼントは絶対にやめてください。」とお伝えしています。
自助具は利用者が使いやすいと感じるものを作らないと、全く使い物になりません。せっかくお孫さんが、プレゼントしてくれた道具が身体に合わない事のストレスや、顔を合わせるたびに「使っているよ。」と気を遣うことになりかねません。
自助具をプレゼントするときは、「自助具をプレゼントしたいから今度一緒にお店に行こうね」と提案するようにお願いしています。
現在京自助具館では、自助具の周知や収益事業などを一緒に考えて、運営に参加してくれる人を募集しています。
活動日:主に火・木・土(お好きな曜日を選べます)
活動時間:10時~16時(将来的には、夜の時間も考えています)
オンラインを通したテレワーク作業もあります
まずは、お問い合わせください。
自助具は、「その時の」その人の「状態」に合わせて作る道具であるため、ユニバーサルデザインではないことを、今回の取材を通して改めて知りました。
昨今、様々なものをユニバーサルデザイン化することが、求められることが増えていますが、それでは助からない人たちもいるということ、その人に合わせたオンリーワンなデザインも重要であることを知っていただけると幸いです。
今回の記事を読んで興味を持たれた方は、ぜひご支援ください。
また、社会貢献として一緒に活動することも考えてみてはいかがでしょうか?
理事長
団体名 | 特定非営利活動法人 京自助具館 |
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代表者 | 近藤 千津子 |
所在地 | 京都市北区紫野上柏野町52番地2 |
団体について |
自助具とは、加齢や障害などにより、思うように体を動かせない |
電話 | 070-407-57119 |
メール | kyoto.jijyogu@gmail.co |
Web サイト | https://kyojijyogukan.com/ |
団体名 | 京都市市民活動総合センター |
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名前 |
向井直文 チーフ事業コーディネーター |