デザインの力を使って地域社会の活動を応援する。わたしたちは、『やさしいデザイン』です。

掲載日:2020 年 7月 31日  


今回お尋ねしたのは、デザインの力で地域社会の活動を応援していくことをテーマに掲げる「NPO 法人やさしいデザイン」(以下、やさしいデザイン)さんです。 やさしいデザインのオフィスは、様々なベンチャー企業や研究施設が集まる京都リサーチパーク(KRP)のスタジオ棟という建物の中にあります。訪問したのは7月半ば、梅雨の合間の曇り空、KRP は徒歩や自転車で行きかう人の姿が多くみられ、活気にあふれていました。 やさしいデザインは 2017 年 4 月に設立されました。メンバーは、グラフィックデザイナー、コピーライター、フォトグラファー、ウェブディレクターなど、全員が企業広告、デザインなどに関わるプロのクリエイター集団です。宣伝・広告や広報のデザイナーというと、一般的には、洗練された表現で見る人が惹き付けられるものを制作する人たちというイメージが思い浮かびますが、彼らはこのデザインの力で社会の問題解決を図る力になろうと考えています。 理事長の生駒豪康(たけやす)さんにお話を伺いました。

このページのコンテンツは、特定非営利活動法人やさしいデザイン 生駒 豪康さんにスポットライトをあてその活動を紹介する記事です。

長くプロのデザイナーとして、またデザイン会社の経営者として活動されてきた生駒さんと NPO との接点はどこで生まれたのでしょう

もともとは自分自身に課題意識があったというわけではありませんでした。以前所属していたデザイン会社の同僚が児童虐待に関わる活動をしていて、その団体の理事に誘われたことがきっかけでした。
この活動を通じて、これまで接点のなかった人たちと知り合うことができ、NPO の世界に目が開かれました。

何らかの社会課題をテーマに掲げて活動する NPO が多い中、自分の仕事であるデザインという分野で NPO 活動をしていこうとされたのはどういう考えからでしょうか

それには二つ理由があります。

まず一つは、自分を含め、デザイナーが第一線で活動できる時間は限られている、ということです。クリエイティブ活動とはその時代時代のトレンドを敏感に肌で感じて、それを制作物に反映させていくことです。

イケてるかイケてないか、それに反応できるかできないか、こうした感性が必要になるわけです。確かに、ビジネスの世界のように極めて高い完成度を求められる世界では、どうしても年齢的な壁ができてきます。
そのため、多くのクリエイターはある一定の年齢になるとクリエイティブの第一線から身を引き、プロデューサー、ディレクターとしての活動に転向していきます。
しかし、長年にわたって培った技術そのものが陳腐化するわけではないので、自分の技術を必要とする人たちのために使えないかと考えました。

もう一つは、自分たちにできる社会貢献のあり方ということです。
大企業と違って小さなデザイン会社では、事業を行うことで手一杯で、人のためになることをしたいと思ってもそちらに回す余力がない。だったら、他でやったらいい、という発想です。NPO であれば、同じデザインワークでも会社とは別の条件で提供することができますから。

デザインの技術を地域社会の人たちが利用できる形で提供していこう、ということですね

それと、当然ながらデザイナーは表現にこだわりますが、デザインはただキレイ、カッコイイ、ということだけではありません。
相手のことを理解していなければ、真のデザインというものはできません。やさしいデザインが心掛けていることは「問題の本質を理解すること」「問題の解決策を考えること」そして「かかわる人々とコミュニケーションを深めていくこと」。

NPO の世界を理解し、それをデザインに反映させることを通して少しでも暮らしよい地域を作り、社会に貢献していく、これこそ自らが NPO 法人である私たちならではの活動なんだと自任しています。

実際にはどのような活動を行っているのでしょうか

団体のパンフレット、ウェブサイトなどの制作やアプリのデザインなどもやっています。

こうした実際のクリエイティブとは別に、自前で開催するセミナーの他、京都府下や大阪府下の各地に講師として招かれ、プロの経験、ノウハウを一般の人にもわかりやすく伝える活動も行っています。

また、「やさしい広報」相談会を開催して、地域社会の人たちの困りごとの解決に応じるような活動をしています。
講座や相談会では、チラシの作り方やタイトルのつけ方、写真の撮り方をテーマとすることが多いですが、最近は SNS の活用について皆さまの関心が高く、ウェブディレクターのスタッフが引っ張りだこになっています。

京都市市民活動総合センターの広報講座でも、「NPO のための伝わる広報セミナー」「これだけは押さえておきたい写真撮影のコツ」「SNS でいいね!を集めるコツ」といった講座の講師を務めさせていただいています。



最後に、今後の予定でぜひお知らせされたいことはありますか

8 月 29 日に「やさしい広報」相談会を開催します。これまでの相談会に参加された方に伺うと、広報のことについてどこに相談していいかわからなかったり、そもそも費用のことが心配でなかなかプロに相談できなかったという人たちが多かったのですが、お金のあるなしに関わらず、何でもご相談いただければ、何か解決方法を一緒に考えたいと思います。
ぜひ、電話、メールでご連絡ください。

生駒さんの語り口は飾ることなく、むしろ柔らかすぎるくらいで、お話を伺っていても、すぐに脱線してしまい、気が付くと取材テーマから外れたところで盛り上がることしばし。あっという間に約束の時間が過ぎました。けれども、制作物である支援団体のリーフレットを手に熱く語るその話しぶりには、ある経営塾で学んだ、「いかに人を大切にするか、世の中のために何をなすべきか」ということについて真剣に考える姿が垣間見えます。自身、これまでの職業人生の中で様々の人と出会い、その恩を受け、今日の自分があるといいます。そして今、やさしいデザインの代表として、志を同じくするクリエイター集団の先頭に立って、デザインの力でさまざまな社会の課題解決に取り組んでいこうとされています。


今回スポットライトをあてた団体・個人

特定非営利活動法人やさしいデザイン 生駒 豪康 (いこま たけやす) さん

特定非営利活動法人やさしいデザイン 理事長

団体名 特定非営利活動法人やさしいデザイン
代表者 生駒 豪康
所在地 〒600-8815 京都市下京区中堂寺粟田町 93 番地 京都リサーチパークスタジオ棟 101
団体について

特定非営利活動法人やさしいデザインは 2017 年 4 月に設立された、構成員全員がグラフィックデザイナー、フォトグラファー、コピーライター、ウェブディレクターなどといったプロのクリエイター集団です。さまざまな課題を抱える社会の中で、これを解決しようと活動している市民グループは多くあります。しかし、そういった活動への理解は人々の間にまだ十分に浸透しているとは言えません。やさしいデザインは、メンバーのそれぞれが持つ専門的技術や知識をもって、こうした活動を多くの人に伝え、また共感や支持を集めるための広報活動を行っていくための支援を行っています。

電話 075-315-9072
FAX 075-315-9048
メール info@yasashiidesign.jp
Web サイト http://www.yasashiidesign.jp/
Twitter https://twitter.com/yasashiidesign
Facebook https://www.facebook.com/yasashiidesign/

この記事の執筆者

団体名 京都市市民活動総合センター
名前 近藤 忠裕

副センター長

Web サイト http://shimin.hitomachi-kyoto.jp/
Facebook https://www.facebook.com/shimisen


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