寄付ラボ 第 80 回寄稿

掲載日:2018 年 12月 14日  

寄付ラボファイナル。第 10 回目は、京都信用金庫の理事長に就任された榊田隆之さんです。地域金融機関の経営者として京都の地域経済を支えてこられただけでなく、NPO への融資や寄付の仕組み作りにも尽力してこられました。
また、「地域社会を支える公共マインドと、グローバル経済に対応する冷静なビジネスマインドの創造を兼ね備えた人材」の育成を目指す、NPO法人グローカル人材開発センターの代表理事もされておられます。
そんな榊田隆之さんに「寄付に関する提言」を書いていただきました。
転換期を迎えている社会をしなやかにとらえ、複雑化する課題を解決していくためのヒントが盛り込まれています。

みんなでよってたかって「共感」のインパクトを!

このページのコンテンツは寄稿記事です。

活動の様子 GLOCAL FUN の集い Global ver. 西村証券様にて

いま世界(社会)は、転換期を迎えています。VUCA 時代への突入が叫ばれ、働き方改革、休み方改革、新たなリーダーのスキルが日々刻々と更新される時代です。
 SDGsでも謳われている「持続可能性」、「共感のインパクト」そして「創発(コラボレーション)」の 3 つが、社会の変化の波をしなやかにとらえ、自ら変化を先導できる人になるヒントだと私はとらえています。
 課題先進国日本、これは世界からみた大きな日本の側面で諸外国は私たちの課題に対する向き合い方や行動、その指針を常に注視し教訓にしようとしています。それぞれの地域課題を見渡すと長期的なものが多く一過性ではない地道な継続が必要です。
 「持続可能性」を考えたとき、例えば「環境」の話では温室効果ガスの排出をこのままのペースで続けていけば未来の子どもたちがより悪化した環境の中で生活をすることは自明です。しかし、そのような未来を未然に防ぐ、「持続可能な」社会を創る過程で仮に環境のみにフォーカスした追求を行えば、経済活動が極端に委縮してしまい、それもまた将来世代にとって生きやすい社会であるとは言えないでしょう。全てはリンクしていて課題の生態系や全体性を意識しながらこの環境と経済、雇用、あらゆる「持続可能性」を追求していかなければならないのです。
 また、それを長期的視座で実現するには政府や公的機関だけが取り組むには限界があります。多様な個や世代、スキルを結集させたチームを作り、私たちひとりひとりが複眼的思考で分野を横断しながら取り組むことが必要不可欠なのです。
 また、近年様々な課題に対し具体的にアプローチするものとして身近になってきているのがクラウドファンデイング、いわゆる購買型の「共感マネー」です。
 一人一人の課題意識や、課題解決に向けた取り組みへの共感が「寄附」というアクションとなり「みんなでよってたかって」社会課題の解決に貢献していく道筋がみえてきています。

課題の多い国ですが、だからこそ将来世代に誇れるような社会を残していく風土づくりの気運が高まりつつあるのです。
 日本では個人で、そのような課題解決に真摯に取り組む団体に寄附をすることが可能で、私たちひとりひとりが社会課題の解決に関わることができます。
 また企業の社会的貢献として例えば 1 社が 500 万円を寄附することも、もちろん大切でが、500 人が 1 万円ずつ、5000 人が 1000 円ずつ寄附をするというように、個人から発する「共感マネー」がこれからの文化や持続可能な社会を創っていくと私は確信しています。
 多くの支援者の共感が姿を変えた形である「寄附」から織りなされる文化、社会がもつ持続可能性は、きっと日本を、世界を変えていくでしょう。
 大きな変化もはじまりは、1つの小さなアクションから。
 私は、それらの課題に取り組むひとりひとり、つまり「ヒト」そのものを支えることが大切であると考えています。

 はじめの第一歩として、あなたの「社会とのかかわり」や「日々の暮らし」のなかで「!」「?」を大切にしてください。<その課題や、心が動いたことに対して働きかけている人がすでにいると思います。あなたがどのような活動に、あるいは誰に共感するのか。
 私たちはそのような課題解決に真摯に取り組んでいる団体に共感マネーの「寄附」という形で、ひとりひとりが社会課題の解決に関わることが出来ます。

あなたが、夢中になり、心惹かれることはなんですか?また課題意識を感じることはなんですか?一人の行動やマインドの変化から地域社会は確実に変わり、それはやがて世界にインパクトをもたらします。「持続可能な社会」を創っていくのは特別な誰かではない、ひとりひとりの共感が織りなす「寄附文化」であり、そうした各地域に根差したグローカルな人材としてのあなたのアクションです。
 地域発展に必要な資金は、地域の共感が生み出すという寄附文化を、共に育みませんか?


榊田 隆之

榊田 隆之(さかきだたかゆき)さん

上智大学外国語学部卒
日本輸出入銀行(現国際協力銀行)勤務、1985 年に京都信用金庫金庫理事就任。人事部長、本店長などを歴任後、2006 年より専務理事、2018 年に理事長に就任。特定非営利活動法人グローカル人材開発センター代表理事、京都経済同友会理事
京都市出身 58 歳


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