寄付ラボ 第 21 回寄稿

掲載日:2015 年 6月 26日  

あなたは「寄付」をしたことがありますか?
実は 2013 年「寄付白書」の調査では、46.7 % もの市民が「この 1 年間に金銭による寄付を行った」と回答しているのです。では、私たちはどんな時に「寄付をしよう」と思うのでしょうか?

今年度初回となる第 21 回は、「寄付ゴコロの芽生え」をテーマに、お二人から寄付に関する思いを執筆いただきました。

寄付ゴコロの芽生え (1)

このページのコンテンツは寄稿記事です。

「求む、クールなNPO夢カタログ」

わたしの専門は文化人類学です。2004 年のインド洋大津波で、長年フィールドとしてきた南インドの沿岸部が大きな被害にあいました。多くの寄付が集まり、たくさんの支援団体が入り、いろいろなことが起こりました。正直、支援や寄付という言葉にまつわる胡散臭さに辟易していました。

そんなある日、被災地で活動する NGO を訪ねると、5、6 人の若い女性が真剣にパソコンに向かっていました。被災した漁村の女性たちが望んだのは、手仕事ではなく、ICT教育だったのです。 NGO のメンバーは、彼女たちの就職先となる企業探しに奔走していました。

そのときわたしは、支援や寄付というのは、夢を共有することなのだと、素直に納得したのです。そしてささやかながら、被災した花嫁が結婚式をあげるためのサリーを買うお金を寄付することにしました。

日本に寄付文化は根づいていないといいますが、誰かと夢を共有するチャンスを生活のなかに埋め込んでいけないでしょうか。

たとえば、いつのまにか定着した結婚式の引き出物や御香典返しの商品カタログ。これを、NPO 夢カタログに置き換えられたら、友人への祝福を友人の社会貢献への想いに、故人への追憶を故人の遺志に重ね、なおかつ夢を共有する NPO とつながることもできて素敵だなあと思います。

もっとも、そのためには、NPO 夢カタログは、とびっきりクールでなくてはなりません。この夢カタログへの思いも、多くの人と共有できればと思います。


杉本 星子

京都文教大学総合社会学部教授

杉本 星子(すぎもとせいこ)さん

地域交流拠点「京都文教マイタウン向島」運営委員、NPO 法人宇治大好きネット理事。著書(共著):『京都発!ニュータウンの夢 建てなおします―向島からの挑戦』(昭和堂, 2015 年)

京都文教大学総合社会学部

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