寄付ラボ 第 23 回寄稿

掲載日:2015 年 8月 14日  

寄付を呼びかける
寄付をいただく
それは NPO ・市民活動団体にとって、高い高いハードルのように感じることがあります。
8 月の「寄付ラボ」では、NPO ・市民活動団体がどのような思いを抱きながら、市民の皆様に寄付を呼びかけていらっしゃるのかをご紹介します。

第 1 弾は、環境 NPO 老舗団体として環境活動分野をリードしてこられた「認定特定非営利活動法人環境市民」の有川真理子さんにご執筆いただきました。

新しい寄付へのチャレンジが生み出したもの

このページのコンテンツは寄稿記事です。

活動の様子

2014 年夏。環境市民は「クラウドファンディング*注 1」に初挑戦しました。これまでは助成金や自治体からの受託金などで事業を行うことが多かったのですが、近年、獲得が難しくなってきたこともあり、今までとは違う財源を得るため、「クラウドファンディング」に挑戦してみました。他の NPO がやっているのをみておもしろそう!と思ったのもきっかけです。

環境市民が活用したのは購入タイプの「 READYFOR ?*注 2」。主に社会貢献系の事業を対象にしていること、実績があり広報力が高いことなどからここを選びました。環境市民が応募したのは、スーパーに環境を大切にした商品があるかどうかを調査する「グリーンコンシューマー全国一斉店舗調査」。
60 万円を目標に 7 月上旬に呼びかけをスタートしました。期限は 9 月 18 日。この日までに目標金額を集めなければ全くお金が入らない仕組みなので、SNS や会報誌、チラシを通じて必死に PR しました。

気が気ではない 3 か月間でしたが、購入してくださった方から「がんばってね!」「こんな事業が必要だと思っていました」といったコメントをいただくと「みなさんの想いを大切にするためにもがんばらなくては」と気持ちが高まりました。

「一部の地域だけではなく、できるかぎり全国で実施をしてほしい」など事業の具体的な内容についてコメントをくださる方もおられ、事業を実施するときにはその方のコメントが「応援」という形で事業をよりよいものにしてくださったような気がします。

内部で企画実施する寄付キャンペーンはよびかけが事務局スタッフだけに留まることも多いのですが、 READYFOR? の場合は期間内に目標金額を達成しなくては 0 円になってしまう緊迫感もあり、理事をはじめ、ボランティアや環境市民を応援してくださる方々が Facebook などを通じて呼びかけの協力をしてくださるなど、多くの人たちを「応援団」として巻き込むこともできました。まるで自分のことのように「目標まであと●円!応援してください」と PR してくださる方もおられました。

これを機会に初めて環境市民を知ってくださる方もおられる一方、昔、グリーンコンシューマー活動をしていた方が改めて応援してくださるなど交流をさらに深めることもできました。

結果的には、期限内に 83 人の方から 679,000 円を集めることができました。この資金がなければ実施できない事業だったので本当にほっとしましたし、応援してくださった方一人ひとりにお礼をお伝えしたい気持ちになりました。

「社会をもっとこんなふうにしたい!」という熱い想いと共感が渦巻くクラウドファンディングは NPO の活動の原点を思い出させてくれる仕組みです。必ずしも大規模な資金に頼らなくても、「この指とまれ!」方式で市民のチカラを結集すれば社会はきっと変えていける。そう実感させてくれました。

クラウドファンディングのページは今日もたくさんのチャレンジがいっぱい。見ているだけでもワクワクします。ここから今後、どんなソーシャルインパクトが生み出されていくのか、とても楽しみです。

注 1:

インターネットを通じて不特定多数の人から事業を行なうための資金を提供していただく仕組み。群衆( crowd )と資金調達( funding )を組み合わせた造語。寄付タイプ、購入タイプ、貸し付けタイプなどがある。

注 2:

共感をテーマに、社会をよくするクリエイティブな活動や新しいことに挑戦する人々を応援するクラウドファンディングサービス。
目標金額と、募集期間を決め、期間中に目標金額を達成できたらプロジェクト成立となる。プロジェクトを始める「実行者」は、お金を集める代わりに、お金を支援してくれる「支援者」に対して、リターン(引換券)をお返しする「購入型」の仕組みが特徴。


有川 真理子

認定NPO法人環境市民チーフ・コーディネーター

有川 真理子(ありかわまりこ)さん

企業や自治体、NPOとの協働によりグリーン購入、グリーンコンシューマーをすすめる事業を多数コーディネート。広報も兼任。

認定NPO法人環境市民

1992 年に京都で誕生した環境 NGO です。環境市民は、政党や宗教団体、企業などから独立した NGO ( 非政府組織 ) です。1992 年、ブラジルのリオデジャネイロで地球サミット ( 国連環境開発会議 ) が開かれた年に京都で誕生しました。地球規模の環境問題を視野に入れ、地域で実践活動を行い、戦略的な行動提案をできる環境 NGO として活動を展開しています。

Web サイト

http://www.kankyoshimin.org/

Facebook https://www.facebook.com/kankyohsimin/

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