寄付を呼びかける
寄付をいただく
それはNPO・市民活動団体にとって、高い高いハードルのように感じることがあります。
8 月の「寄付ラボ」では、NPO ・市民活動団体がどのような思いを抱きながら、市民の皆様に寄付を呼びかけていらっしゃるのかをご紹介します。
第 2 弾は、子ども支援 NPO のネットワーク団体として子ども活動分野をリードしてこられた「特定非営利活動法人京都子どもセンター」の竹内香織さんにご執筆いただきました。
「すべての子どもが“のびやかで・豊か”な子ども時代をすごすことができる生活文化環境をつくりたい」と 1999 年に設立した京都子どもセンターですが、活動の財源として「寄付募集」に取り組み始めたのは、この数年のことです。
「寄付」はハードルが高い…正直なところ億劫になっていました。「こんな課題解決に取り組んでいるので支えてください」とアピールすることが、馴染まないのではないか。なんだか恥ずかしい。けれども現実にお金が必要だし………。
ところが数年前、まるで棚から牡丹餅のように事業への寄付をいただいたのです。長年実施している「無人島一週間チャレンジキャンプ」参加者のご家族からでした。
「…(キャンプから ) 帰ってきた時の息子は自信をとりもどし、一回り大きくなったように感じた。自由時間に、高校生リーダーがだまって息子の話を聴いてくれたそうだ。楽しそうにキャンプの話をする息子の姿に、自分たちの子育ては間違っていなかったと思えた。
大事な活動だし、今後も続けてほしい気持ちを何かで表したかったが現金しか思いつかず…」と。
懸案だったテントの修理などにありがたく活用したのはもちろん、この経験を通じて、私たち自身が「やっぱり大事な活動なんだ」「もっと、関わって下さる人の思いに耳を傾けながら活動を育てていきたい」と気持ちを新たにさせていただきました。
とはいえ、寄付を募るためには、受け皿の仕組みや道具立て(組織内部の合意、会計手続きの整備、寄付依頼のパンフレット作成や、お礼方法の決定)など、手間のかかる準備が必要です。
そんな時、(公財) 京都地域創造基金*注 1の事業指定寄付*注 2を活用すれば、準備のサポートがあり、寄付してくださる方にも税制優遇があると知って、2013 年度から「ホッとアートプレゼントプロジェクト」でエントリーしました。
長期入院など病院内で生活を続ける子どもと家族の支援をと、助成金をつないで実施していたのです。活動の受益者から参加費を集めることが出来ない、資金が無いと続けられない。けれども現場では「年 1 回でも続けて」との声が上がる…。
ならば、続けるために「市民の寄付で病院の子どもを支える」ことを打ち出し、寄付の成果をニュースレターなどで報告して、少しでも病院の子どもたちと地域社会をつなぎたい。
「寄付を集める」決断はしたものの、やはり億劫だし気後れするし…でも活動は大事だし…。そんな優柔不断な姿ですが、「大事ならしっかり頑張って!」と背中を押してくださる方もいらっしゃいます。事業だけでなく、私たちスタッフや組織としての成長も含めて応援してくださっているような…。
案外大事なのは、格好良くて理路整然とした「寄付獲得向きの言葉」ではなく、「でも、でも…」と言いながら、地道にやっているカッコワルイ姿をさらすことなのかもしれません。他の団体の皆さんにお勧めできる話ではありませんが、まだまだ寄付募集にもがいている最中の、京都子どもセンターのありのままを。
公益財団法人京都地域創造基金= 2009 年、300 人を超える市民の寄付で設立した日本初の市民コミュニティ財団。地域からの寄付を呼び起こし、それらを地域課題の活動に届けることで持続可能で豊かな地域社会づくりに取り組んでいます。
注 2:事業指定寄付= NPO 法人や市民活動団体・地域で活動する団体などのための寄付集めサポートプログラム。「積極的な情報開示」や「第三者や専門家による厳しい審査」をクリアした団体を「信頼できる寄付先」として市民に紹介しています。
特定非営利活動法人京都子どもセンター理事長
竹内 香織(たけうちかおり)さん
特定非営利活動法人京都子どもセンター理事長
特定非営利活動法人京都子どもセンター | |
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