最近、寄付に関する様々な仕組や取組が広がっています。商品の購入代金に寄付が含まれている「寄付つき商品」や不要になったものを寄贈して、換金額を寄付するもの。
そのような取組のなかで、比較的取組みやすい寄付の仕組みを紹介します。
1983 年、アメリカ合衆国の象徴である“自由の女神像”が改修されることになりました。すると、ある団体の取り組みによって、たった 3 ヶ月で 170 万ドル (当時のレートで約 4 億円*注 1)もの寄付が集まりました。短期間で一体どうやってこれほどの寄付を集めることができたのでしょうか?
その答えはクレジットカードです。
キャンペーンを仕掛けたのは、公共機関でも慈善団体でもなく、カード会社のアメリカン・エキスプレス。仕組みはとてもシンプルで、カードの新規発行 1 件につき 1 ドル、カード利用 1 回につき 1 ドルを、自由の女神像の修復のため寄付すると宣言したのです。
集まった金額が示す通り、この取り組みは大反響を呼びました。
実はこのようなクレジットカードを使った仕組みは、今や身近なものになっています。普段わたしたちはクレジットカードやポイントカードを使いながら買い物することもありますが、そのカードの選び方と使い方によって、手軽に社会貢献できるのです。
例えば、最もポピュラーなクレジットカードである楽天カードや T ポイントカードでは、買い物でたまったポイントを自分が応援したい活動分野を選んで寄付することができます。特に、期間限定ポイントなどがある場合は、寄付で活用する方も多いそうです。
この他にも、社会問題の分野別に複数の社会貢献型クレジットカードを発行しているのがオリコとセディナ。
選べる寄付先もとても充実しており、明確に指定することができます。寄付先ごとに異なるデザインのカードは、持っているだけで常に寄付先を意識することができます。
しかも、買い物金額の 0.2 ~ 0.5 % が、カード会社負担によって寄付されますので、カード利用者は出費もおっくうな手続きもいりません。
カードを選び買い物をすると、恒常的に寄付ができるこの仕組みは、寄付意識の高い方々によく知られています。
しかし、ポイントやクレジットカードを活用して寄付する手法は、募金や直接寄付に比べてまだまだ少数派。
内閣府の調査*注 2によると、過去 3 年間に寄附を「したことがある」と回答した人のうち、クレジットカード利用 (ポイント含む) による寄付は 7 % でした。
一方で、主婦を対象にした寄付調査では、ポイント寄付を活用したことがある割合が 30% になったという結果*注 3もあります。
普段から様々なポイントカードをお得に活用している女性の方が、このような仕組みには敏感なのかもしれません。
「寄付」というと「現金」のイメージも強いですが、このように「買い物」を通してできる、クレジットカードやポイントカードを活用した寄付も広まっています。
クレジットカードは負の側面が取り上げられることもありますが、使い方によってはとてもスマートな寄付のスタイルにもなります。
NPO と提携したクレジットカードや、特定の地域に寄付が行くカードも登場しています。
<社会貢献クレジットカード> で検索して、ぜひあなたにピッタリのカードや寄付先を調べてみてください。
1983 年の US ドル/円の為替レート年間平均を約 238 円として計算。
注 2:出典:平成 26 年度 市民の社会貢献に関する実態調査
注 3:主婦と消費行動研究所 (株)キャリア・マムによるインターネット調査( 2010 年 3 月)
京都市市民活動総合センター事業コーディネーター
森本のり子さん
今回は、市民活動総合センター職員による投稿です
京都市市民活動総合センター | |
---|---|
Web サイト | |
寄稿者のブログ | http://kshimisen.hatenablog.com/ |
https://www.facebook.com/shimisen | |
https://twitter.com/kshimisen |