寄付ラボ 第 69 回寄稿

掲載日:2018 年 3月 9日  

第 68 回寄付ラボでご紹介した「大阪マラソン」の寄付の機会。大阪マラソンでは様々な寄付の仕組みを整えておられますが、その中でも特徴的なのが、誰でもファンドレイザーになれる“チャリティランナー”の仕組み。
今回は、2017 年の大阪マラソンで寄付先団体に選ばれた NPO 法人プール・ボランティアさんに、チャリティランナーとの出会い、大阪マラソンを通した支援の輪の広がりについてお書きいただきました。

2 つの達成感を味わえる大阪マラソン

このページのコンテンツは寄稿記事です。

NPO 法人プール・ボランティアは、障がい者にマンツーマンで水泳指導をしている団体です。2018 年で設立して 20 年目になります。私たちがめざすのは「障がいがあっても健常者と同じようにプールを楽しめる社会」です。

私たちが活動を始めた 1999 年の頃は障がい者と一緒にプールに行くと「障がい者専用プールに行ってください。」と言われた時代でした。それから 20 年。今ではプールの中で障がい児達の歓声を聞いた一般のお客さんから「よう頑張ってるなぁ。」「今日は泣いてないなぁ~。」「うちの孫にも障がいがあってなぁ。」などと、活動中に声をかけてもらえるようになりました。

障がい者が市民プールで泳ぐことが、自然な風景になっているのです。

しかし、私たちの活動はプールの中だけですし、実際の活動を見てもらえる機会が少ないので、なかなか寄付が集まりません。そんなとき目にしたのが『大阪マラソンオフィシャル寄付先団体公募』の記事でした。これならスポーツ NPO として力を発揮できるのではないかと思ったのです。

初挑戦となった 2016 年は 36 名、2 年目の 2017 年は 72 名のチャリティランナーが集まりました。 1 年目は、地元の方や顔見知りのチャリティランナーが多かったのですが、2 年目になると、全国からのエントリーが増えてきました。島根県の「障がい児の会」のお父さんは子どもの夢を叶えたいとエントリーしてくれました。また、別の女性は、実際にプール・ボランティアの活動を見学に来られ、「プール用の車イスなんて初めて見たわ。私が走ることによって障がい児にこのプール用の車イスを届けたい!」と職場の同僚に声をかけてくれたのです。そして、この「届けたい!」という思いは、その後彼女の働く会社を動かし大きな寄付につながっていきました。また、ある陸連登録のランナーさんは、学校の PTA に声をかけたところ、生徒さん達が、朝校門の前に立ち募金活動をしてくれました。また、ある男性は自分の会社の労働組合に働きかけ、会社の玄関前に早朝から募金箱をもって立ってくれました。「障がい児が安全にプールに入るためのプール用車イスを購入する資金にします。募金をお願いします。」と、出勤する社員一人ひとりに声をかけてくださったそうです。

プール・ボランティアでは、「1 人 500 円の募金を 100 人から集めて走る大阪マラソン」を目指しています。一度に数万円なんてなかなか集まりませんし、1 人でも多くの人たちにチャリティの輪を広げることが大切だと思うからです。

42.195km を走りきることと、7 万円の募金を集めること、この 2 つがあるから大きな達成感を味わえるのです。

頂いたご寄付で、日本初の『重度身体障がい者用の浮き具』の特許申請をいたしました。この浮き具によってもっとたくさんの障がい者に安心して泳げる環境を提供したいと思っています。大阪から全国へ。2 年後の東京オリンピック・パラリンピックに向けて少しでも障がい者が水泳を楽しめる社会環境が整うことに寄与していきます。応援よろしくお願いいたします。


織田 智子

NPO 法人プール・ボランティア事務局長

織田 智子(おだともこ)さん

1999 年に理事長と二人でプール・ボランティアを設立。
最近では、団体紹介に漫才で挑み
大阪マラソンでは、ペンギンの着ぐるみを着てチャリティランナーを応援しました。
泳いで楽しい、一緒に走ってオモロイ団体づくりに励んでいる事務局長です。

NPO 法人プール・ボランティア

関西を中心に活動し、ボランティア会員は 200 名。年間のべ 4000 人を越える障がい者・児に水泳指導をしています。また、スポーツ施設や企業対象に『障がい者対応研修』を普及し、日本製として初の「重度身体障がい者用浮き具」の企画開発をしています。

Web サイト

HP - http://www.pool-npo.or.jp/


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