京都犯罪被害者支援センターは、平成 10 年設立の犯罪被害者支援団体で公安委員会の指定を受けた犯罪被害者等早期援助団体として警察からの被害者情報をもらい相談や支援をしている。全国にこのような団体は 48 あり、全国被害者支援ネットワークとともに被害者の求める支援が、どこでもいつでも受けられることを目指し活動している。

民間団体である犯罪被害者支援団体は、どこも財政と人材の面で苦労している。安定した財政基盤があって初めて犯罪被害者の方々への支援が充実することから、どの団体も収入を増やすことに懸命の努力をしている。

そんな中、不要な本を処分することができ、その買取額が寄付として犯罪被害者支援に役立てられるという取組み「ホンデリング*注 1」は、開始から 3 年経過して昨年から一気に京都府内に広がることになった。京都府警察犯罪被害者支援室の声掛けで、まずは警察官・職員が本の寄付を契機に被害者の置かれた状況に関心を寄せ、犯罪被害者支援の必要性を理解してほしい、ということで平成 28 年度、29 年度それぞれ約 1 万冊の本が寄付された。

あわせて、京都府も市町村に働きかけ、犯罪被害者支援の担当者が中心となり、ホンデリングに取り組みはじめた。支援担当者だけでなく同じ役所内の他の職員にも社会の一員として犯罪被害者支援に関心を持ってもらうこと、さらに市民一人一人の理解を広げたいというものである。

とりわけ今年度は、京都市内の下京警察署管内において、警察と連携する地域、各種団体、学校などへ、きめ細かく働きかけ、区を挙げてのプロジェクトに発展し約 1 か月の間に 4300 冊を超える本が集められた。

講演会の折、要らなくなった本の処分ができて、それが役に立つのであれば一挙両得だと会場に本を持参する方がいたり、子どもの本が実家にあったからと車で取りに行って寄付した方もある。新聞でこの取組みが報道されたあと、「どこに持っていけばいいの」「回収場所はどこにあるの」といった問い合わせが続いた。5 冊以上あれば宅配業者が取りに来てくれ送料はかからないことや回収箱のあるところを説明すると、出かけるついでに 2 ～ 3 冊ずつ持って行くという方もいた。

このように、講演を聴くついでに持参する、自分でまとめて送る、少しずつ回収箱に持っていく、など自分のやりやすい方法で参加できることや、不要な本の整理と社会貢献が同時にできることが、寄付のハードルを下げ、継続することにもつながっている。

これが地域で広がり定着するために当センターも PR に努めたい。学生や大学へのアプローチも必要である。

犯罪被害者支援は難しくて自身は相談や支援まではできないと思う人にとって、このような間接的な組織への支援は、社会全体で犯罪被害者を支えるための大切な一歩である。

勿論、現金の寄付は大変ありがたいが、本の寄付をするたびに、これが犯罪被害者支援のためになると意識してもらえることの意味は大きい。