お付き合いの寄付、なんとなく…の寄付、想いを込めた寄付。寄付をする理由は実に人様々です。
寄付をいただくこと、それは活動に共感していただいていることを感じたり、活動するスタッフへの応援だとうけとったり、受け取る側の思いも様々です。
今年度の寄付ラボではそんな両者からの記事を発信してきましたが、今回は寄付を“する” 側から “頂く”側 になられた方に、寄付の物語を執筆いただきました。
私自身、今までに数多くの寄付をしてきました。NGO、NPO、任意団体や個人等々への寄付です。寄付 (カンパというようなものも含めてですが) ですので当然「リターン」は全く期待していません。
いい機会なので『何故自分は寄付する (した) のか』をもう一度考えてみようと思いました。その結果ですが「寄付」のモチベ―ションの第 1 は、自分の出来ないことをやっておられる団体や個人に対して、『尊敬』の念を含めた意思表示です。私の場合は、途上国での医療活動やインフラ整備等を行っている皆さんに激励・感謝の思いを表現するエールでした。
モチベーションの第 2 は、若者や学生が一生懸命頑張っているのに対して、価値観が共有できる活動に対しての激励のエールです。若者や学生が未来に希望をもって、元気よく主体的に活動するのは未来へのポジティブな可能性を大いに期待させてくれます。特に昨今の若者が自分自身の思いや意見を表現するようになってきているのは大変心強く思っていますし、そのような若者・学生に対する『頑張れよ』の思いを込めたエールでもあります。
さて先日、市縁堂*注 1が開催されました。その際に CaPSAY (キャプセイ) は昨年のプレゼンテーターということで、昨年寄付を頂いて以降がどのように寄付を活かしてきたかを報告するように仰せつかりました。それで当日昨年以降の事業活動の振り返りと今後の事業計画について手短かにまとめて報告し、報告後与えられたブースで原稿執筆の作業をしていると一人の若者がやってきました。そして CaPSAY のこれからの事業活動について質問されました。
いろいろと話しているうちに若者は、「これは CaPSAY さんへの寄付です。」と言って、 1,000 円差し出してくれたのです。最初、今日は寄付を頂くためのプレゼンではないのでと遠慮しながらも、何故寄付をしようとお考えですかと尋ねました。彼が言うには「大学のゼミの同級生はほぼ全員が公務員志望だが、自分は自然農法の農業を自分のキャリアとして選んだ。 CaPSAY の言う主体的・自立的キャリア形成とか自分の興味・関心を活かしや価値観を持った進路決定をサポートするといった思いに共感と勇気を得た」ということです。
私は、有難く『想定外のカテゴリー』の寄付を頂きました。学生にしてみれば決して少額ではないでしょう。今まで若者や学生が一生懸命頑張っている姿にエール込めて寄付をしてきた私ですが、学生から寄付をいただく側になったという状況に、暫くして反芻すると涙が出る思いでした。この寄付は浪費しないで、 CaPSAY の仲間の共有財産として残しておこう、そう考えました。
寄付をされる方の思いはそれぞれでしょう。しかし寄付を頂くものとしては、『寄付も収入のうち』等と単に上から目線で流してしまうのではなく、寄付をされる方の思いをじっくりと考えて、心に染み入る『寄付』として原点に立ち返える機会としたいものです。寄付は財政的には当然ですが、モチベーションの源泉に繋がるものであるとしみじみと感じ入りました。
本気で社会の課題解決に取り組む NPO がプレゼンテーションを行い、共感した活動に対しその場で寄付をすることで、応援の気持ちを伝えることができる聴衆参加型のイベント。京都市市民活動センターによる主催で、2013 年より毎年秋に渉成園で実施。( 2015 年は 11 月 7 日に開催)
特定非営利活動法人CaPSAY (キャプセイ)理事長
五十川 進(いそかわすすむ)さん
ケースワーカー、会社社長を経て 1995 年から 2014 年大学職員。 2006 年から 2014 年はキャリアオフィス職員として定年退職、2014年3月からNPO法人CaPSAY理事長。
特定非営利活動法人CaPSAY (キャプセイ) |
2014年3月設立。若者に対する社会情勢が非常に厳しい中で、日本の将来を担う若者たちが、主体的に自分のキャリアを考え、自立・自律して自身のキャリア形成を実現することを目的に活動を行う。「若者を対象としたキャリアカウンセリング」や「キャリア形成支援プログラム」などに取り組む。 |
---|---|
Web サイト | |
https://www.facebook.com/Capsay-Npo-1397194637207927/ |