寄付ラボ 第 58 回寄稿

掲載日:2017 年 9月 8日  

今回取り上げるテーマは「チャリティオークション」。
TV 企画で有名人が参加していたり、文化祭などで実施されることも多く、バザーと並んで日本の代表的な「チャリティ・スタイル」といえます。ですが、バザーは「その家庭にとって不要なもの」が出され、低価格で販売されることが多い一方、オークションは「価値のあるもの・プレミア感のあるもの」が出品され、競り落とす形式が一般的です。

京都では地域性も影響しているのか、芸術・美術作品を集めた「チャリティオークション」が何十年にも渡って継続して開催されています。様々な作家の一品が集まったオークション会場は、見るだけでも楽しいものですが、そこには「芸術作品ならでは」の苦労もあるようです。

今回は京都のある国際協力団体の活動を応援するために開催されている美術作品のチャリティオークションに、長年作品を提供してこられた作家の方にご寄稿いただきました。オークションに協力されることになったきっかけや、長年作品を提供してこられたことで変化したお気持ちを語ってくださっています。

4 半世紀 チャリティオークションに関わって

このページのコンテンツは、ニッコーを支えるチャリティ・オークション実行委員会 / 大豊 世紀さん寄稿による記事です。

活動の様子

早いもので四半世紀を超える付き合いになっている。日本国際民間協力会 (NICCO)*注 1とのかかわりである。

 活動の資金に供するため、美術作品チャリティオークション*注 2に出品して欲しいとのことで小野理事長自ら自宅を訪問されたのが始まりでした。
当時、各新聞社等が同様の企画を催していましたので特別な目新しさも感じる事もなく、依頼があってもお断りすることの方が多いのが実情でした。ただ、理事長自ら来宅されてお話をされるというようなことは他にはなかったことです。
生きている以上見過ごしてはいけないものがあるということは感じていても、具体的に自分に何ができるのか、できることがあるのか、偽善に過ぎないのではないかとモヤモヤするのです。ボランティア活動が今ほど認知されていない時代、その感は付きまとっていました。

しかし、話は明快でした。会の趣旨、世界の状況、その解決のため何が求められているのかなど、当時の自分にはとても新鮮に感じられたものです。新しい視点が見えたようでした。 当時はカンボジアが活動のメインだったと記憶していますが、農村地帯の自立のためのプランには直接私たちの資金が使われ、援助を受ける側・する側双方の姿の見える援助になる実感、これが大事なことでした。 そんな経緯で出品を快諾したのですが、理事長の迫力に押されて、チャリティオークション実行委員会のメンバーとして、企画・運営する側にもいつしか組み込まれていました。

作家が作品を提供し、オークションで一般の方がそれを買い、その資金でスタッフが現地で活動する、構図は簡潔ですが、実際には大変な作業です。
まずは作品集め、作家に依頼して提供を募るのですがこれが中々に難しいのです。商品価値のあるものを寄付することですから。市場価格よりも高くなることはまずない訳で入札状況によっては作家のプライドにもデリケートな影響が生じます。お金の流れの透明性が気になるので出品を躊躇する向きもあるのが現実です。
実行委員会のスタッフ、主に学生インターン*注 3が丁寧に説明しコンタクトを取りながらまわるのですが、必ずしも快く対応してもらえる訳ではないので、この努力・労力はすごいことです。
大変なのはそれだけではないのです。オークション本番となれば、ほとんどのインターン生が初めて経験することになるのですが、美術品の取り扱いや展示、会場でのお客様への応対など難しいスキルを短時間で身につけなければならないのです。個々の人間力、対応力が必要とされるのです。

このような活動が本来の目的である社会貢献にとどまらず、人を育てる機能を併せ持っていることを強く感じています。時折 OB のインターン生が多忙の中、応援に来てくれて会うことがありますが、それぞれの道に進み、一回り大きな人物になっているのを見て、まさにそれが実証されていることが判ります。
時代が変わり社会の有様も変わってきますが、継続してきたことで漸く見えてきたことがあるようです。

注 1:

公益社団法人 日本国際民間協力会(NICCO)
1979 年にカンボジア難民支援のため、京都の市民が集まり設立した国際協力 NGO 。設立以来、途上国の人々の経済的・精神的な自立を図るため、アジア、中東、アフリカの世界 21 カ国で、(1) 緊急災害支援、(2) 環境に配慮した自立支援、(3) 人材育成に取り組む。現在は、ケニア、ヨルダン、パレスチナ、アフガニスタン、ミャンマー、フィリピンに加え、国内では東日本大震災被災地と滋賀県にて活動を展開。特に環境に配慮した持続可能な村落開発と、災害や紛争後の心のケアに力をいれている。

注 2:

チャリティ・オークション「芸術家と文化人の作品展」。1991 年から開催。
主催は「ニッコーを支えるチャリティ・オークション実行委員会」。毎年冬(2 月頃)に京都の百貨店にて開催され、オークションで得られた収益金は、必要最低限の経費を除いた全額が NICCOに寄付される。主に 20ー30 代前半のボランティアの若者が中心メンバーとなって、百貨店の協力により、人件費・会場費ともに無償となっているのが大きな特長。

注 3:

NICCO では 1996 年より、国際社会で活躍する人材の育成を目的として、インターン制度(無償ボランティア)を実施している。インターンは学生から社会人経験者まで多岐にわたり、日本国内においてファンドレイジングイベントの企画・運営・広報活動・国内事業に携わった後、海外事業にも従事し、実際に国際協力の現場で経験を積むこともできる。


大豊 世紀

ニッコーを支えるチャリティ・オークション実行委員会

大豊 世紀(おおとよせいき)さん

京都在住 
1950年大阪生まれ
金沢美術工芸大学卒業
日本画家 日展会員 
大阪芸術大学 客員教授

ニッコーを支えるチャリティ・オークション実行委員会

毎年京都の百貨店にて、途上国や災害被災地への支援を目的としたイベントを開催しています。
芸術家・文化人・宗教家の先生方やスポーツ関係者の皆様からご寄贈いただいた、茶道具・陶芸品・絵画・書・工芸品・サイン入りグッズなどの素晴らしい寄贈品が会場内を彩ります。

Web サイト

http://www.nicco-auction.jp/


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