寄付ラボ 第 57 回寄稿

掲載日:2017 年 8月 25日  

ブログなどの Web 媒体で商品やサービスを紹介することで、読み手が商品を購入するなどの成果があがった場合に報酬を受け取ることができる「アフィリエイト」という広告収入の仕組みがあります。
“気軽にできる副業” ということで広まったため、「お小遣いを増やすために」というイメージが強いアフィリエイト収入ですが、自分のブログを通してその収入のすべてを、「自身が応援したい NPO 」に寄付する仕組みを取り入れたデザイナーがいます。
そこには「デザインの課題にアプローチしながら、デザインの価値を高めることのできるチャリティスタイル」がありました。

ブログ更新だけで年 10 万円の寄付が生まれる、一石三鳥のしくみ。

このページのコンテンツは寄稿記事です。

活動の様子

ブログを更新するだけで、年間 10 万円の寄付が生まれました… と聞いたら「そんな夢のような話はないでしょ!」とか、「話を盛りすぎ!」などと言われそうです。でも、本当なんです。

私はグラフィックデザイナーとして主に NPO の広報物を制作しています。
NPO が取り扱うテーマは、まだ世に広まっていなかったり、問題構造が複雑だったりして、理解や共感を広めるのはとても難しいことが多々あります。そんな時に役立つのが、“デザインの力” です。
NPO の業界でもデザインの力が求められているにもかかわらず、NPO をデザイン面でサポートする人たちは非常に少ないのが現状です。

私もその少ない担い手の一員として、40 団体 100 件以上の広報物作成の実績がありますが、加えて 2015 年にブログを立ち上げました。根底にあるのは、これまで培ってきた経験や知識を、現場で日々奮闘されている NPO スタッフのためにまとめたい!という思いです。

ブログのタイトルはストレートに「NPO のためのデザイン」。
このブログでは、実務に役立つ広報・デザインの記事を更新するだけでなく、ある実験的な寄付のしくみを取り入れました。その名も「寄付リエイト」と言います。ブログにおけるアフィリエイト広告収入のうち振込手数料などを除いた全額を寄付するという試みです。
主な寄付先は、NPO をデザイン面でサポートしている NPO。
「寄付リエイト」は「寄付」と「アフィリエイト」を合わせた造語になります。2016 年の実績は約 10 万円で、寄付先は 4 団体。1 団体あたり 2 万 5 千円を寄付させていただきました。

もともとこの「寄付リエイト」のアイデアと名称は、日本財団 CANPAN プロジェクトの山田泰久さんから教えていただきました。ブログを準備していた時期にちょうど山田さんとお話しする機会があり、すぐに実践してみることになった、というのが「寄付リエイト」を始めたきっかけです。

おかげさまで、2017 年は半年で 10 万円の「寄付リエイト」が発生し、昨年よりも多くの寄付を各団体にご提供できることが確定になりました。
一介の小さなデザイナーが NPO のために広報物を「つくる」といっても、年間で制作できる件数には限りがあります。
でも、ブログを通じて「伝える」ことをすれば、より多くの NPO スタッフの笑顔を生み出すことができます。さらに、アフィリエイトという便利な仕組みを活用して、デザインで NPO をサポートしている NPO をお金で「応援する」ところまで発展できることがわかりました。しかも、当ブログを更新すること自体が、私にとっては経験の棚卸しになる、という点で十分なメリットになっています。

そんな一石三鳥の取り組みがあっていいものか、と私も戸惑いながら、毎月のアフィリエイト報酬を確認するのが密かな楽しみになっています。


林田 全弘

azuki design

林田 全弘(はやしだまさひろ)さん

1979 年生まれ。大阪市在住。
小さな NPO を応援するグラフィックデザイナー。

azuki design

デザインで小さな NPO を応援します。

Web サイト

http://azukidesign.com/


上へ