寄付ラボ 第 55 回コラム

掲載日:2017 年 7月 28日  

寄付文化を日本に根付かせていくためには、寄付へのチャネル(経路)を広げることがとても大事です。
そのチャネルのひとつとして、チャリティーイベントがあります。

「イベント自体を楽しむ行為が結果として寄付につながる」ことで、寄付をする人が増えるのであれば、それはそれで良いことなのかもしれません。ですが、意外に「このチャリティーイベントってどうなの?」とSNSで疑問を投げかけている方も多いようです。

今回は「そのチャリティー、どうなん?という疑問」をクローズアップしてみました。

「そのチャリティー、どうなん?」

このページのコンテンツはコラム記事です。

活動の様子

多種多様なチャリティーの取組みが行われています。しかし「そのチャリティーイベントって寄付の趣旨に適ってる?」とツッコミたくなるものや、「寄付集めが目的にしては、ちょっと効率悪すぎない?」と首をかしげたくなるものもありますよね。

 例えば、「飢餓救済」のチャリティーイベントなのに、華やかな建物でパーティーを催し大量の食べ残しを出したり、「環境保護」を謳っているのにガンガンにクーラーが利いた大音響のクラブハウスで行われる場合。確かにそこに集まったお金は寄付に充てられるかもしれないけれど、「そもそもこのやり方でいいの?」と戸惑いを感じることもしばしばあります。

 

はたまた、毎年物議を醸しているのは、夏に行われるチャリティー番組。SNS上で投稿されている意見の多くは「チャリティー番組なのに出演者に高額な出演料が払われているのはどうなの?」という疑問のようです。
そもそもこの番組で出演料を払っているかどうかはわかりませんし、募金から出演料を払っていないことは「公益社団法人 24 時間テレビチャリティー委員会」の HP で明らかにされています。それでも尚このような問題に多くの人々が敏感に反応してしまうのは、番組制作に関わる経費と募金に関わる経費が混同されやすいことの他に、日本ではまだまだ「チャリティー=奉仕・手弁当」という思い込みが強いからなのかもしれません。

一般的に、チャリティーイベントには 2 つのタイプがあります。イベント開催に係る費用を主催者側で負担するものと、「参加費や募金から必要経費を除いた額を寄付に充てる」もの。どちらを良しとするかは、参加する一人ひとりが選べばよいと言えます。
「チャリティーイベント=主催者が常に自腹を切らなければいけない」としたら、お金に余裕のある人しか行うことはできませんし、継続することも難しくなります。重要なのはそれぞれの特徴を理解し、自分が納得できるチャリティーイベントを見極めて参加することです。

 例えば、募金や参加費やの流れを主催者がきちんと説明しているか事前に確認する、イベント収入額と寄付額( NPO などの団体に贈られた額や社会課題への取組みに充てられた額)を確認する、贈られた寄付がどのように活用されたか報告を見る・求める、など。疑問を抱いたままチャリティーイベントに参加し後悔するのはもったいないですし、不確定な噂に惑わされるのもナンセンスです。

チャリティーには様々な疑問や意見もありますが、寄付のチャネル(経路)のひとつとして、大きな役割や可能性があることも確かです。まだあまり知られていない課題を多くの人に知らせることができますし、“楽しさ”や“ワクワク感”を加えることによって、今まで寄付をしたことのない方でも気軽に寄付に参加できる「入口」となります。これらの持ち味を踏まえた上で、自分が納得できるチャリティーイベントに参加していきましょう。


京都市市民活動総合センター

土坂 のり子(つちさかのりこ)さん

京都市市民活動総合センター 2017年度寄付ラボ担当

京都市市民活動総合センター

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