寄付ラボ 第 54 回寄稿

掲載日:2017 年 6月 23日  

昨年度は、寄付のちょっとダークな部分にフォーカスをあてた寄付ラボ。4 年度目となる2017 年度では、改めて寄付をポジティブに捉え、日本に根付いてきた(または根付こうとしている)チャリティ文化を取り上げます。
ズバリ、テーマは「ジャパニーズ・チャリティ スタイル」。特に「単にお金を提供する寄付」ではなく、市民(寄付者)の参加やアクションが土台となっている取組、社会的課題や時代のニーズを逆手にとった寄付の取組、一石三鳥の取組など、何かしら特徴のある寄付の仕組みを取り上げます。

また昨年は寄付を集める団体さんによる寄稿が多かったのですが、今年は「チャリティに参加する側の方」から、参加者目線の「チャリティスタイル」を発信していきたいと思います!

さて、1回目に取り上げるチャリティスタイルは、「ワンクリック募金」。

最近はいろんなWEBサイトでワンクリック募金をみかけますね。
その中でも今、特に注目を浴びている「gooddo(グッドゥ)」を「日課」のように利用している方に、ワンクリック募金の魅力を寄稿いただきました。

参加の力を可視化する – ワンクリック募金の可能性

このページのコンテンツは寄稿記事です。

活動の様子

私には日課となっていることがある。それは、毎日、市民活動団体に寄付をすることである。こう書くと、何と意識が高く裕福な人なんだろう!と思われるかもしれない。
しかし、実際にしていることは、スマートフォンやパソコンを立ち上げ、ワンクリックしているだけなのである。私の財布からお金が出ていくこともなく、ものの 10 秒で「応援」ができてしまう―それが「ワンクリック募金」である。

ワンクリック募金とは、ウェブページ上にあるボタンをクリックするだけで、市民活動団体に現金を送ることができる仕組みのことである。ここでは、私が「日課」として利用している「gooddo(グッドゥ)」を例に出したい。
gooddo は、社会貢献団体を「誰でも」「今すぐ」「簡単に」「無料で」支援することができるプラットフォームとしての役割を担っている。自分が「応援したい」と考えている団体のページに入り、「応援する」ボタンをクリックすると、20~1000 ポイントが団体に入るようになっている。
私は、毎朝「運勢占い」の感覚でワンクリックしている。1000 ポイントが出ることはほとんどなく、20 ポイントが出るとかなしいが、それでも団体への支援になることは間違いない。

このように、各団体の「応援する!」ボタンや企業への「いいね!」のクリックで得られたポイントは週ごとに集計される。その合計で 5 段階のゴールを達成していくと、ポイントに応じて支援金が届けられる仕組みになっている。*注 1
また、毎週、ポイントが多く貯まった順に 10 団体までは、支援金額が 2 倍になり、6,000 円が届けられる。ランキングは常にデッドヒート状態で入れ替わるため、応援する側のクリックにも力が入るというものである。

前述のように 1000 ポイントが出ることはまれで、ほとんど 20~50 ポイントである。また、クリックは一日一回しかできないことから、相当数の人からの応援クリックを得ないと、ゴールの達成は難しい。しかも、gooddo には 2017 年 5 月末現在で 776 団体が登録している。この膨大な団体リストの中から選ばれ、クリックしてもらうことは決して容易なことではない。

そのため、gooddo では facebook *注 2 と連動し、各団体のページにおいて活動の紹介や報告が掲載されている。環境問題に取り組む人たちや動物愛護団体が掲載するかわいらしい犬や猫たちの姿、寄せられる応援のコメントを見ると、自分のワンクリックが団体へのささやかな応援になっているのだということが実感できる。
たとえ、ワンクリックであっても、活動の報告というかたちで見えてくると、応援する側はうれしくなり、また応援したいな、と思えるようになる。

そうした日々の情報発信こそが「共感」を生み出す源泉になるのだろう。時間的にも金銭的にも余裕のない状況にあっても、「何か社会に良いことをしたい」という気持ちをワンクリックという「参加」につなぐことができる。
それらは小さな積み重ねであるが、普段の活動ではなかなか見えづらい「参加の力」を数値として可視化しているといえるのではないか、と考えている。

注 1:

各ゴールの設定はゴール 1 ( 3,000pt )達成で 300 円、 ゴール 2 ( 5,000pt )達成で 500 円、ゴール 3 ( 10,0 00pt )達成で 1,000 円、ゴール 4 ( 20,000pt )達成で2,000 円、ゴール 5 ( 30,000 pt)達成で 3,000 円となっている。

注 2:

ソーシャルネットワーキングサービスのひとつ。


井上 泰夫

井上 泰夫(いのうえ やすお)さん

京都産業大学ボランティアセンター職員/非常勤講師。
さまざまな課題を抱えた人でもくらしやすいコミュニティの実現に向け、多様な主体がまちづくりに関わる「参加のデザイン」をテーマに、若者が地域とつながるための「きっかけ」と「しかけ」づくりに取り組んでいる。


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