寄付ラボ 第 52 回寄稿

掲載日:2017 年 3月 10日  

今回は京都文教大学の山本先生に、寄付をコミュニケーションという視点からお話しただきました。

寄付を通じたコミュニケーションは、寄付する側と受ける側だけでなく、寄付をする人同士の間にも、生まれるものなのです。

寄付を「コミュニケーション-交流」活動として考える

このページのコンテンツは、寄稿による記事です。

活動の様子

私の専門は公共経済学です。私はこれまで、市民や個人がコミュニティで活動をするときに、寄付がどのような役割を果たしているか、そして寄付がもつ可能性について研究してきました。ここでは、寄付の行動指針について考えてみましょう。

人びとが寄付をするかどうか、またいくら寄付をするかを決めるときのポイントがいくつかあります。第 1 に、町内会などのコミュニティや NPO などの団体が取り組んでいる社会課題に共感できるかどうかです。自分自身と社会課題との共通点が見つかれば、その課題に共感しやすくなります。たとえば、不幸にして家族や恋人などの身近にいる人が難病にかかってしまったとします。そのとき、その課題は自分の課題であるだけでなく、社会の課題にもなっています。このように社会課題が自分の課題になっている場合もありますが、それ以外に自分の過去の経験や夢、または目標と重なり合えば共感が生まれます。このことが、寄付活動の第 1 歩です。

第 2 に、社会課題に共感することと同時に、関係する人どうしが信頼しあっているかどうかも大切です。人びとの間で信頼関係を築けば寄付活動を進めていくことができます。なぜなら、信頼関係で結ばれている人びとの間には安心感が生まれるからです。たとえば、 NPO がみずから取り組んでいる活動について発信しつづけ、 NPO に対する理解が進んでいくことで、 NPO に対する信頼が芽ばえる場合もあるでしょう。また、コミュニティ活動を続けていくなかで、住民どうしが安心して生活できるようになることもあるでしょう。このように信頼や安心感が生まれると、自分が寄付をすれば周りの人も寄付をしてくれるという期待が生まれます。それによって、寄付をしようと思う人が増えていきます。逆に、周りの人が寄付をするなら自分も寄付をしなくてはという義務感も芽ばえます。このような期待や義務感が広がっていけば、人びとの間で寄付活動が浸透していくのではないでしょうか。つまり、寄付とは関係する人どうしの「コミュニケーション」の手段にもなっているのです。

最後に、地域やコミュニティの規模にも触れておきましょう。ここでいう規模とは、地域やコミュニティに住んでいる人、いわゆる住民の数のことです。住民の数が増えていくにつれコミュニケーションをとりにくくなり、交流の機会が減ってしまうと、寄付活動はうまくいかなくなるかもしれません。たとえば、町内会で寄付をしない人がでてくると、町内の関係がぎくしゃくし、交流活動を続けることが難しくなってしまいます。逆に言えば、課題が小学校区や町内で発生している場合、となり近所どうしで交流する機会を頻繁にもつことで寄付活動が活性化することが期待できます。このように、寄付には「交流」という側面もあるのです。


山本 真一

山本 真一(やまもとしんいち)さん

京都文教大学総合社会学部総合社会学科 准教授 経済学博士。
寄付の手法を用いて、公共財の供給と地域が抱える課題 (資金調達、地域の愛着形成) を研究。


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