2016 年 12 月 11 日に開催された「市縁堂 2016」では、8 つの NPO・市民活動団体が、ドキュメンタリー映画よりももっとリアルで、ヒューマンドラマよりも勇気づけられるトークセッションとプレゼンテーションを行いました。
「“他人事ではないな” “私もその問題、気になってた”と思ったら、ぜひ、あなたの共感とエールを“寄付”という形で届けてください。」と呼び掛けた「市縁堂 2016」。
その中で垣間見えた「寄付=エールの贈り方」についてのコラムです。
京都には、たくさんの「ほっとけない」問題があり、困っている人や状況を「ほっとかない」と、活動してきた NPO があります。その中には、全国でもいち早く問題に取り組んできたパイオニア団体や、独創性あふれる取組みで全国から注目されている団体があります。「市縁堂2016*注 1」では、そんな注目団体*注 2に出演していただきました。
「子どもの貧困対策」を全国規模にしてきた団体や、祇園祭りのごみ削減に取り組む団体、途上国・紛争国への支援で着実な成果を出す団体などが並ぶ中、「市縁堂 2016」で一番寄付を集めた団体は、設立してわずか 2 年の「NPO 法人京都いえのこと勉強会」。
父子家庭支援に取り組むこの団体に、老若男女問わず 30 名の方から計 57,055 円のご寄付が寄せられました。
「ひとり親家庭」という言葉を聞いたとき、母子家庭をイメージする方が多いのではないでしょうか?
実は父子家庭の問題は社会にあまり知られていません。自らもシングルファーザーであるプレゼンテーターの木本努さんが 「父子家庭の大変さ」を話すと、会場内は「はっ」と息を飲んだように静まり返りました・・・
「京都いえのこと勉強会」が協力をお願いしたのは、父子手帳のニーズ調査に関する費用 10 万円。
ある若い女性は、「友達が父子家庭で育ちました。彼女はすごく”頑張りやさん”でした。ニーズ調査を通して、父子家庭の声を社会にもっと発信してください。」と寄付とともにメッセージを伝えていました。また、ある男性は、「自分自身もシングルファーザーだったけど、父子手帳の必要性はあまり感じなかった。正直言うと、活動内容に全面的に共感できたわけではない。だけど、この団体にもっと頑張ってほしいと思って寄付をした」と、インタビューに答えてくれました。
NPO は「正解が見つかっていない問題」に取組んでいるようなものです。その取組みが確かな成果を出し課題を解決できるか、未知数であることも。しかし市縁堂では、団体の取組み内容だけでなく、そこで活動している人の「思い」に直接触れることができます。そこで贈られる「エール」は、「頑張っている人を応援したい」という飾り気の無い (シンプルな) 励ましでした。
その飾り気の無い(シンプルな)励ましこそが、今、社会に最も必要とされていることかもしれません。そして本当は、誰もが誰かを励ましたいと感じているし、自分も誰かに励まされたいと願っている。「市縁堂 2016 」では、寄付というエールを贈る人々の姿から、人々のそんな気持ちを感じました。
市縁堂は NPO によるプレゼンテーションで活動内容を知ってもらい、この取り組み「いいな!!」と思ったら、その場で寄付し、NPO を応援できるイベントです。 2013 年から京都市下京区の渉成園を舞台に、 4 回目の開催となる 2016 年は会場をイオンモール KYOTO に移して開催しました。
注 2:「市縁堂 2016 」 出演団体
京都市市民活動総合センター
土坂 のり子(つちさかのりこ)さん
京都市市民活動総合センター
市縁堂 2016 担当職員
京都市市民活動総合センター |
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