寄付ラボ 第 15 回寄稿

掲載日:2015 年 1月 9日  

第 15 回となる今回は、2014 年夏の京都でのチャレンジ「祇園祭ごみゼロ大作戦」を「寄付」の側面からお伝えします。1 ヶ月で約 1,000 万円もの寄付を集めたプロジェクト。どんな仕組みがあったのでしょうか。

寄付をするのも集めるのも市民。「共感型寄付」のカタチ

このページのコンテンツは寄稿記事です。

活動の様子 32カ所に設置されたエコステーション

「祗園祭のごみをゼロにしたい」

そんな想いをもって集まった民間事業者・ NPO ・行政等の 8 組織で、 2014 年度から始まったのが「祗園祭ごみゼロ大作戦」です。

例年の宵山行事期間に輩出されている一般廃棄物は平均約 60 トン。そのごみをゼロに近づけようという、数十万人の規模のお祭りでは全国でまだ例がない取組みです。

今年は 210 の屋台で販売されるお好み焼きやたこ焼き、焼きそばなどの食品の容器、 21 万 5,000 食分を使い捨て食器から何度も繰り返し使用出来るリユース食器に変更しました。そして、のべ 2,000 人のボランティアの方々とともに、約 20 トンのごみ減量を達成することができました。

このプロジェクト、ごみ減量やボランティアの数等で注目されることが多かったのですが、実は運営資金の多くは市民や団体からの寄附によって集められています。その寄付額は募集わずか 1 ヶ月で約 1,000 万円。しかも企業や大口の寄付者からの大口寄附が多かったわけでは決してなく、千円~十数万円程の比較的小口の寄附が積み重なった結果の金額でした。

これだけの寄附を短期間に集める事ができたのには理由があります。

一つ目は、公益財団法人京都地域創造基金の「未来協創プログラム」を活用させていただいたこと。このプログラムを活用することで、まだ何の実績もない取組みであったにも関わらず、財団の様々な審査をクリアした取組みであることから、寄付者の方々が安心をして寄附をすることにつながりました。

また、財団を通じて本事業に寄附をすることで、寄附金控除を受けることができたことも、寄付する側としては寄附のしやすさにつながりました。
二つ目は、事務局の私たちも本当に驚き、また嬉しかったことなのですが、多くの方々が寄附を集める側にまわってくださったということでした。

「祗園祭のごみをゼロにしたい!」そんな無謀とも思えるチャレンジに共感してくださり、「寄附したよ」で終わらず、「寄附しましょう!」と声をかけてくださったこと。フェイスブックやツイッターを通じて呼びかけてくださるだけでなく、自分の周りの人達に自ら声をかけ、チラシを渡して説明をして、寄附を集めて下さった方が非常に多くいらっしゃいました。そんな、みんなが課題を共有し、共感しやすかったという点も、多くの人達から支援をいただくためには、重要であると今回改めて感じました。

成果ばかりを強調して伝えましたが、運営面においても、そして、掲げている「ごみゼロ」という目標を実現するという点においてもまだまだ多くの課題を抱えている発展途上のプロジェクトです。

世界三大祭の一つであり、ユネスコ無形文化財にも登録されている祗園祭りをぜひみんなの手で、さらに世界に誇れるお祭りにしませんか。一緒にやりましょう!

注 1:

国内外から訪れた観光客は 2 日間で約 72 万人にのぼりました

注 2:

合計4種類のリユース食器が使用されました


野池 雅人

祗園祭ごみゼロ大作戦実行委員会 事務局長

野池 雅人(のいけ まさと)さん

特定非営利活動法人きょうとNPOセンター 常務理事/

祗園祭ごみゼロ大作戦実行委員会 

2014 年 3 月から活動開始。 NPO をはじめ、民間事業者、行政等の 8 団体を中心に、祇園祭宵山行事におけるリユース食器を活用したごみゼロ活動を展開している。 構成団体は下記のとおり。 「美しい祇園祭をつくる会」 「きょうと NPO センター」「京都環境事業協同組合」 「京都市」「京都府地球温暖化防止活動推進センター」 「五条露店商組合」「地域環境デザイン研究所 ecotone 」 「京のアジェンダ 21 フォーラム」

Web サイト

http://www.gion-gomizero.jp/about/


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