寄付に関するさまざまな思いやエピソードを多様な立場の方にそれぞれの視点で執筆をお願いし、みなさまに生の情報をお届けする「寄付ラボ」。第 16 回は、「あしなが育英会」の奨学生、東千尋さんからご寄稿をいただきました。
街頭募金を通じて、支援者の気持ちを直接感じ、お金だけではない支援を受けていると語られています。
みなさんは「あしながおじさん」という小説はご存知ですか?孤児院で育った少女が一人の資産家の目にとまり、毎月手紙を書くことを条件に進学のための奨学金を受ける物語です。少女に名前などの素性を明かさずに支援を続ける男性。唯一、少女が彼の姿を見たのは影。足の長い影。そこからその男性のことを「あしながおじさん」と呼んでいました。姿は見えない支援者の方々。私たちあしなが育英会でも継続的なご寄付で遺児支援をしてくださる方々のことを「あしながさん」とお呼びしています。
ご支援の方法にも様々なものがありますが、その中で私が実際に「あしながさん」とお会いした募金活動についてお話します。お近くの駅や街頭で「ご通行中のみなさま!ただいまあしなが学生募金を全国一斉におこなっております!」と大きな声で呼びかけている大学生や制服姿の高校生を見かけたことはございませんか?その活動が私たちが大学奨学生になってまずはじめに出会う「あしなが学生募金」です。日本全国 47 都道府県で春秋 4 日間ずつ一斉に行います。
初めて募金に立った時、「私はお金がないので学校に行けません助けてください。」と叫んでいるようでとても申し訳ない気持ちと恥ずかしい気持ちでいっぱいでした。一緒に立っていた先輩に「自分自身の話をしてみてもいいんだよ。」と言われ、自分がなぜ遺児になったのか何のために大学に通い続けたいのかでも自分たちの力では進学することが出来ないということを訴えました。すると目に涙を溜めた女性が近づいて来られました。「実はおばちゃんも母子家庭で子ども育ててたねん。だからあなたのお母さんの気持ちがとてもよくわかる。勉強させてあげたい、学校行かせてあげたいと思ってたけど食べさせることでいっぱいいっぱいで進学させてあげることが出来ひんかった。悔しいよね、すごくわかる。ちょっとしか力になられへんけど頑張ってね。」と握手をしながら話してくださいました。
優しくあたたかく見守り励ましてくれる方、時には厳しい言葉をかけてくださる方、様々な方とお会いしました。ただ寄付を頂くのではなく、私たち自身も学ぶことが多く、人生に影響を与えていただけました。”寄付”という金銭的な支援だけでなく”精神面”でも支援をされているのだと気づくことができました。
心温まる支援者と支援される側の繋がりを大切にしていきたいと考えております。
あしなが育英会、京都府子どもの貧困対策検討会検討委員
東 千尋さん
あしなが育英会大学奨学生、武庫川女子大学 健康・スポーツ科学部 4 年 在学中
あしなが育英会、京都府子どもの貧困対策検討会検討委員 |
病気や災害、自死(自殺)などで親を亡くした子どもたちや、親が重度後遺障害で働けない家庭の子どもたちを物心両面で支える民間非営利団体です。国などからの補助金・助成金は受けず、すべて寄付金で運営しています。ご寄付の 9 割以上は個人の方からです。 |
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