寄付に関するさまざまな思いやエピソードを多様な立場の方にそれぞれの視点で執筆をお願いし、みなさまに生の情報をお届けする「寄付ラボ」。
第 8 回となる今回は、京都府と京都市が、全国に先駆けてはじめた NPO への寄付促進のための制度について、京都市地域自治推進室の牧村雅史さんにご寄稿いただいています。
京都市では、平成 24 年 4 月から NPO 法人に関する設立認証等の事務を担当しており、現在,本市が所管する NPO 法人は約 800 法人となっています。また、本市が認定した認定 NPO 法人は 8 法人で、そのうち,条例指定制度により PST (パブリック・サポート・テスト) 基準をクリアした法人は 5 法人となっています。
この条例指定制度は,他の都道府県・政令指定都市にはない、京都独自の府市協調による制度設計及び運用を行っています。具体的な手続としましては、京都府・京都市とも同じ委員で構成する審査委員会の意見をお聴きし、府・市ともに審査案件がある場合は合同で審査委員会を開催しています。審査委員会では、法人の財務状況・実施体制などの「運営面」や、法人の活動が地域社会の課題解決に役立つものか、寄附金を充当して行う事業がどのようなものかといった「公益面」を中心に,法人からの説明も踏まえて審議を行っています。
市会の議決をいただいた条例指定の 5 法人(① ノンラベル、② 古材文化の会、③ 花山星空ネットワーク、④ 環境市民、⑤ 劇研)につきましては,すべての法人が認定 NPO 法人に移行されており、「多くの NPO 法人に認定 NPO 法人に移行していただきたい」という制度趣旨のもと、円滑な制度の運用を図ることができています。
いずれの法人も、寄附を財源として活動を展開していくためには、更なる情報発信と組織運営の安定化を図る必要があるとの共通認識のもと、それぞれが独自の取組をされています。例えば、「会員」を中心に寄附を集められているケースもありますし、寄附募集キャンペーンなどを実施されて「支援者」から寄附を集められているケースや、事業を実施される際に「参加者」や「地域住民」から寄附を集められているケースもあります。また、「企業等」に対しても認定 NPO 法人のメリットを活かした寄附募集を積極的に行っていきたいとの意向もお聞きしており、今後の各法人の取組に期待しているところです。
認定 NPO 法人への移行については、これまでから多くの事前相談を受けておりますが、運営要件等を満たさなかったケースや、寄附を財源として着実に事業を実施できるよう運営体制の整備を図ってから申請するというケースが多いと感じています。このため、京都市市民活動総合センターで実施している「認定 NPO 法人への移行に向けた講座」や「専門家相談会」等を通じた組織運営の強化のための支援や,認定 NPO 法人制度の積極的な周知を引き続き行っていきたいと考えております。
多くの NPO 法人が条例指定法人や認定 NPO 法人へ移行することは、市民の寄附というかたちでの社会参加の選択肢が増え、寄附文化の醸成につながることが期待できます。今後とも、「寄附を通じた市民の社会参加」と「寄附を財源とした NPO 法人の活動促進」に取り組んでまいりますので,よろしくお願いいたします。
最後に、寄附文化の醸成に向けた京都市の取組を PR させていただきます。本市では、NPO 法人が京都市提供の市民に寄附を呼びかける版下を活用してリーフレットを作成された場合の助成制度として、「NPO 法人への寄附促進に向けた広報活動支援補助事業」を実施しています。補助金額は経費の 2/3,上限 4 万円です。ぜひともご活用*注 1ください。
リーフレット助成につきましては,こちら をご覧ください。
京都市文化市民局 地域自治推進室市民活動支援課長
牧村 雅史さん
平成 26 年 4 月から現職。平成 14、15 年度に,総合企画局パートナーシップ推進室の市民活動支援担当係長として「市民活動総合センター」の設置に携わった。
京都市文化市民局 地域自治推進室 |
京都市では、平成 11 年 4 月に総合企画局パートナーシップ推進室が設置され、市政への市民参加と市民活動の総合的支援に取り組んできました。平成 16 年 4 月から市民活動支援に関する業務は文化市民局に移管され,平成 24 年 4 月の NPO 法改正に伴う権限移譲時に市民活動支援担当課が設置されています。 |
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