寄付ラボ 第 4 回寄稿

掲載日:2014 年 7月 25日  

寄付に関するさまざまな思いやエピソードを多様な立場の方にそれぞれの視点で執筆をお願いし、みなさまに生の情報をお届けする「寄付ラボ」。

第 4 回は、NPO 法人アレルギーネットワーク京都ぴいちゃんねっとの小谷 智恵さんにご寄稿いただいています。

寄付はミッションを果たすための「活動」そのもの

このページのコンテンツは寄稿記事です。

活動の様子

2014 年、私たちぴいちゃんねっとは 10 年目の節目の年を迎えています。そして新年度は、事業の見直しからスタートしました。昨年度決算の数字からは、たくさんの課題が見えてきます。昨年度は、京都府・京都市からの委託事業に頼り、NPO 法人の基本であるサポーター(会員)登録や寄付は、総収入に対し 1% に落ち込みました。

マイノリティな存在である食物アレルギーの子どもと保護者の QOL の向上というミッションを掲げ、「社会を変える」「社会の仕組みを作る」ということを目指す私たちの様な当事者支援の NPO は、その「活動」を継続するために、自ら積極的に資金を集める必要があります。行政や企業など外部から与えられた資金(助成金・補助金・交付金)の範囲で「事業」を行うだけでは、ミッション解決の「活動」の継続は見込めません。

昨年度は、その「活動」継続の為に、自主「事業」での収益を得る手法を探りました。ソーシャルビジネスという分野に足を踏み入れ、京都市・京都府から事業費委託を受けました。この「事業費」のおかげで、組織基盤、事務局体制、事業の柱を整えることができたことは成果の一つです。しかしながら、昨年 1 年間は「事業」がメインとなり、もともと食物アレルギーの子どもや保護者が抱えていた医療・生活の課題解決の「活動」に向き合うことができませんでした。ここでいう私たちにとっての「活動」とは、当事者の生活への調査・研究に基づく政策提言を行い、食物アレルギーの子どもや家族が健やかに過ごすことのできる社会の仕組みを作ることです。

今年度は、その「活動」と本格的に向き合える体制となりその支援活動のためには、サポーターや寄付を集めることが必然となりました。そして、やはりその「活動」に対して当事者である食物アレルギーの家族からは、続々と声が届き、社会構造の変革への願いが強いことが伝わってきます。当事者のための活動ですが、それを現実化するためにはより広く周知し、支援者を増やすことがとても大切です。この基本理念に基づいての支援者、寄付の獲得は最も大切にすべき支援の形です。そして食物アレルギーの子どもと保護者の事を知ってもらうというこのアクションは、最も説得力があり、動き始めるとすぐに反応が返ってきています。

こうして自団体の履歴を見ながら寄付について考えてみると、寄付の獲得は単に活動資金としてだけでなく、本来のミッションを果たす最も大切な「活動」でもあると言えます。


小谷 智恵

NPO 法人アレルギーネットワーク京都ぴいちゃんねっと副理事長・事務局長

小谷 智恵さん

長男が食物アレルギーであったことから 2005 年 4 月に、ぴいちゃんねっとを設立。

NPO 法人アレルギーネットワーク京都ぴいちゃんねっと

食物アレルギーの子どもと保護者の QOL (Quality of life = 生活の質) の向上を目的に「医療支援」と「子育て支援」、「当時者支援」と「支援者支援」のそれぞれのの両側面からの支援活動・事業を行っている。

Web サイト

http://www.allergy-k.org/


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