寄付に関するさまざまな思いやエピソードを多様な立場の方にそれぞれの視点で執筆をお願いし、みなさまに生の情報をお届けする「寄付ラボ」。
第 2 回は、財団法人京都 YWCA が新たに立ち上げる自立援助ホーム「カルーナ」に、サポーターとして取り組んでいる齋藤佳津子さんにご寄稿いただいています。
関東大震災の起こった 1923 年に京都 YWCA は産声を上げました。YWCA の「W」は Women の「W」。大正時代より、女性の手によって、ファンドレイジングの様々な取組みが行われてきました。今では当たり前となったリサイクルセールは 40 年以上も前から行われていましたし、外国人宣教師仕込みの「Bake Sale」(焼き菓子やジャムを作って販売すること)など、コツコツと女性たちの手で資金集めを行い、1967 年に地上 5 階建ての鉄筋コンクリートの建物を建築したことは、当時大きなニュースとなって新聞紙上を賑わせたことを先輩たちから武勇伝のように聞いていました。
しかし、多くの NPO やボランティア活動が当たり前の時代となり、また、日本経済が厳しくなってきた1990 年代後半より、募金額の減少や会員減少という現実に、どのような方法で寄付や募金を集めるのか、悩める日々が続きました。私も「募金委員会」の担当職員をしており、毎年ファンドレイジングのためのプログラム開発にいそしむ日々でしたが、それらも担い手や参加者不足で会員・職員ともども疲弊することが多々ありました。
現在、京都 YWCA は、建物の改修工事に伴い、新たに「多世代・多文化ふれあいコミュニティ」事業*注 1にとりくんでおります。乳児から高齢者まで、さらには多様な文化的背景をもつ人々と地域の人々が交流・協働し、豊かな関係を育む魅力あるコミュニティを目指すというものですが、その中でも、自立援助ホーム*注 2「カルーナ」は、児童養護施設等を経た児童のための、児童福祉法に基づく自立生活援助事業を行います。15 ~ 18 歳の女子を対象にし、「受容と見守り」を基本に、自活・自立できるようになるまで「安心・安全な生活空間」を提供することになりました。
職員をしていた頃、虐待等、機能不全家族に育ったために、行き場の無い女の子の対応を会員たちとチームを組んで〈直接的〉に支援したことがありました。今回、この自立援助ホーム「カルーナ」を〈間接的〉に支えるサポーターの方たちを募ろうと、「後援会」を立ち上げ、私が代表をつとめさせてもらっています。「サポーター」という形は、どのような人をどう支援するか、大変わかりやすい「寄付」の形といえます。これらの〈間接的〉な支援が、どのような実を結んだのか、より具体的で〈直接的〉なものとして、サポーターへ伝えていくことが今後大事になってくると思われます。寄付の成果が〈直接的〉な形で見える、感じられる、そんなサポーター制度としていきたいですね。
多世代・多文化ふれあいコミュニティ」については こちら
注 2:自立援助ホーム (児童自立生活援助事業) は、児童養護施設等を経た義務教育終了後 20 歳未満の児童が、日常生活上の援助、生活指導、就業の支援等を受けながら、共同生活をおくり、社会的に自立していくことを支える施設。
注 3:サポーター募集は こちら から
(公財) 京都 YWCA
齋藤 佳津子(さいとうかつこ)さん
元京都 YWCA 職員・(一財) 社会的認証開発推進機構理事・應典院主事
(公財) 京都 YWCA |
YWCA(ワイ・ダブリュー・シー・エー / Young Women’s Christian Association)は、キリスト教を基盤に、世界中の女性が言語や文化の壁を越えて力を合わせ、女性の社会参画を進め、人権や健康や環境が守られる平和な世界を実現する国際 NGO です。1855 年イギリスのロンドンで始まりました。京都では、1923 年から活動を始めています。 |
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