はざまカフェって?
はざまカフェは、社会の制度やシーンの中で、うまく馴染めなかったり、孤立を感じている人が集まる場として始められた活動です。特に乳幼児を持つ家庭を中心に、月1回程度のベビー服や子ども用品の交換会や、子育て中の保護者が気軽に集まって交流できる場を提供しています。
交換会は、乳幼児健診に合わせて伏見区の醍醐支所の会議室で開催することもあり、健診に来た母親が気軽に立ち寄れる機会を提供しています。また、おしるこ作りなどの料理体験や工作イベントも開催し、参加者が子どもとゆっくりと過ごせる場も提供しています。
はざまカフェが生まれた背景と“はざま”の存在
はざまカフェの活動は、代表である松本さんご自身の経験と、子育て支援に関わる中で抱いた問題意識、そして地域の子ども食堂での活動を通して得た気づきなどが関わっています。
● 行政の子育て支援で得た気づき
松本さんは、子育て支援に携わる行政の人たちと一緒に仕事をする機会があり、最前線で相談業務などにあたる彼らの熱意や努力を目の当たりにしました。しかし、彼らが熱心に仕事に取り組んでいることを知った一方で、支援することができない領域があることに気づいたのです。「行政の方々がこんなに頑張っているのだから、私たちにしかできないことがあるのではないか」松本さんがそう考えるようになったことが、はざまカフェ設立の大きなきっかけの一つとなりました。
● 子育て中の孤独と新たな気づき
松本さんご自身も3人の子どもを育てる中で、子育ての難しさや孤独を感じることがありました。
特に、自分の子どもが病気で長期間入院や自宅療養していた時期には、満足に外出もできず、さらに、病状的に病児保育の対象とならなかったことで、相談できる先がなく社会から孤立しているような感覚に陥ったといいます。
その状況を「親として子どもに申し訳なく、やりきれない気持ち」と表現されていました。
この状況から抜け出すべく、松本さんは、京都市のまちづくり協働コーディネーター(旧まちづくりアドバイザー)との相談会に行き、「子どもが社会から孤立して心配です。」と相談を持ちかけました。するとコーディネーターから思いもよらない言葉が返ってきたのです。「心配なのはお子さんではなく、お母さんではないですか?」「お母さんであるあなた自身が、社会とつながりたいのではないでしょうか。」という言葉をかけられたことが、自身の社会とのつながりを求める気持ちに気づくきっかけになったと語っています。また、同じ境遇の人と話すことを勧められ、そう簡単に見つかるものなのか?と思っている矢先、子どもの入院先とみらい食堂(後述)で、偶然似たような境遇のお母さん二人と出会いました。話をして驚いたのは、自身の状況に全く落ち込んでおらず、「あんたがここで諦めたらどうすんの」と松本さんを励ましてくれたのでした。
● 地域の子ども食堂での経験
松本さんは、地域の子ども食堂「みらい食堂」の立ち上げにも深く関わっています。
元々、調理師の資格を持っていた松本さんは、みらい食堂に調理で役に立ちたいと考えていました。しかし、子どもの入院などが重なり、補助金申請や広報などの事務作業を担当することになりました。
事務作業を通して、団体運営に関する様々なノウハウを学ぶ中で、松本さんはみらい食堂の代表を任されることになります。代表の仕事は当初不安だったものの、活動を通して多くの人と出会い、地域の人々と交流することの楽しさを知った松本さんは、地域活動への思いを強く持つようになりました。しかし、子ども食堂のイベントに参加したくても、小さい子どもがいるため参加をためらうお母さんや、母子家庭という立場から参加しづらいと感じる方もいました。
みらい食堂の活動を通して、地域には様々な“はざま”があることに気づいたことも、はざまカフェ設立の大きなきっかけとなっています。
松本さんはすべての人に開かれた居場所をつくろうとはざまカフェを立ち上げました。
地域のさまざまな人との関わりが生み出す力
はざまカフェの活動は、様々な地域の人とのつながりによって支えられています。
特に、みらい食堂へ参加するきっかけをつくった醍醐いきいき市民活動センター(以下、醍醐いきセン)の職員との出会いは、松本さんにとって大きな転機となりました。同センターの企画で、やりたいことを参加者の前でプレゼンをしてつながりをつくる「ゆめプレゼンテーション」というイベントを通じて松本さんは「はざまカフェ」を発表し、そこで繋がった人たちと、みらい食堂で知り合ったお母さんとで活動を始めました。また、醍醐いきセンの紹介で醍醐中央図書館から開催依頼が来るようになり、子ども食堂や多様な団体との共同開催 や交換会で出品する物品の寄付回収の協力などで地域の様々な団体との連携を深めていきました。
立ち上げてわずか1年で、現在は、松本さんとコアメンバー2人、醍醐いきセンの職員のほか、工作好きの人や子育てカウンセラー、隣の地域の民生委員など、多様な人々が関わっています。、また会場も、関係者の紹介や視察を通して、今では、醍醐いきセン、伏見区役所醍醐支所、醍醐中央図書館、京都橘大学、保育所、イベント会場などと、様々な場所で活動しています。つながりがつながりを生み出している状況に驚きです。
自分の経験が誰かの役に立つということ
松本さんを励ましたお母さんが帰り際に「私の経験が役に立つんやったら、あれだけ苦労をした甲斐があったわ。」と、ご本人の問題は解決したわけではないのに、生き生きとした顔で帰っていく姿を見て、「解決しなくても楽しく暮らす方法はある し、解決しなくても誰かの役に立てることもある」ということを学びました。
松本さんは、はざまカフェが、参加者が社会とのつながりを感じ、自分の役割を実感できる場としても機能していることに活動を通して気づきました。交換会やイベントを通じて、参加者は、要らなくなった子どもの服が誰かの役に立つことや、子育て中の経験を話すことで誰かの役に立てたと思うことで、社会に貢献していると感じる ことができ、それが自身の支えにもなっています。
松本さんの活動は、自身の経験をもとに、社会の“はざま”で孤立しがちな人々を支援したいという強い思いから生まれました。
地域の人々とのつながりの大切さを知り、誰もが社会とつながり、役割を感じられる場をつくることの重要性を認識したと言えるのではないでしょうか。自身の経験が誰かの役に立つという信念のもと、松本さんはこれからも地域で活動を続けていきます。
ボランティアスタッフ募集中
はざまカフェでは、現在ボランティアスタッフを募集しております。
醍醐地域を中心に、一緒に活動をしませんか。
子どもと一緒に活動していただいても大丈夫です。
ご興味のある方は、メール、Instagramのメッセージからご連絡下さい。